takeの感想文マガジン

映画・ドラマ・アニメ・読書・の感想・レビューを綴るブログです

ミチコとハッチン

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「刹那」という言葉が浮かぶ。

一瞬の輝き。

ただそれだけに生きるミチコ。

居場所のないハッチン。

そんな二人が・・

ヒロシという生きてるか死んでるかも分からない男を探し

あてのない逃避行を描いた話。

最近のアニメにはない寂しくシュールな雰囲気がイイ。

ギャグもお色気もない。

大好きな映画「パーフェクトワールド」(主演ケビンコスナー)の感じに似ている。

初めから正解のないゴールにむかって、バカみたいに突き進む姿になぜか泣けてくる。

声優の起用に賛否あるようだが僕はこれでいいと思う。

真木ようこのミチコ。別に奇をてらってるわけでもなく、お洒落ぶってるわけでもなく、このキャラクターに、このアニメの世界観にぴったりはまっている。

結局は「刹那」を描いているのだから。

意味も、成長も、目的もない。

ただ一瞬、一瞬の輝きだけに生きる。

それも悪くないと思わせられる。

それでいてちょっぴり情がある。

そんな機微が分かる人間にしかこの話の良さはわかるまい。

 

ひとつ残念なのはラスト。

急にほのぼのしたハッピーエンドな感じになったところ。

サトシ・バチスタが名もないチンピラに撃たれてあっさり死ぬけど、ああいうシュールさがこういう話の王道。ミチコも最後は追い詰められて・・・古いけど「明日に向かって撃て」的な終わり方のほうがよかったかな・・個人的意見として。

これはこれでいいけど。

ヤング・アダルト・ニューヨーク

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2014年 米 ノア・バームバック

 

ベン・スティラー

ナオミ・ワッツ

アダム・ドライバー

アマンダ・セイフライド

 

 

ニューヨーク・ブルックリンを舞台に、世代の異なる2組のカップルの交流と友情を描いたハートフルコメディ。8年間も新作が完成していないドキュメンタリー映画監督のジョシュと、妻のコーネリア。40代になり、人生にも夫婦にも何かが欠けていると感じるようになったある日、ジェイミーとダービーという20代のカップルと知り合う。時代に乗り遅れたくないとSNSに縛られる日々を送る自分たちに比べ、自由でクリエイティブに生き、レトロなカルチャーを愛する若い2人に刺激を受けたジョシュとコーネリアは、再び活力を取り戻していくが……。ミドルエイジの夫婦を演じるベン・スティラーナオミ・ワッツと、20代のカップルを演じるアダム・ドライバー&アマンダ・セイフライドが共演。(映画COM)

 

 

アダム・ドライバーとアマンダ・セイフライドの怪演がイイです。

これは、一種の師弟ものです。昔からよくある、落ち目の師匠が若い弟子を育てているうちに、いつの間にか追い越されていくというやつです。

実際にも一昔前のベン・スティラーのオカブだったニヒルでクールでユーモアある若者役もすっかりアダムとアマンダ食われてます。

しかし、僕はこういう作品、落ち目の師匠の哀愁に心惹かれるんです。

映画「さよならゲーム」のケビン・コスナーティム・ロビンス

映画「訣別の街」のアル・パチーノジョン・キューザック

韓国ドラマ「ベートーベンウイルス」のキム・ミョンミンとチャン・グンソク

日本ドラマ「協奏曲」の田村正和木村拓哉

みんな好きな作品ですが、追い越されても師匠のほうががやっぱり素敵なんです。

人として。

 

この作品のほかの人のレビューをいくつか読ませていただきましたが、後味が悪いという感想が多いようでした。

 

主役のジョシュ(ベン・スティラー)がジェイミー(アダム・ドライバー)に追い越されてENDとなるからでしょう。しかもこの話の場合はちょっと・・・。

重大なネタバレになるのでこれ以上は言えませんが、結構驚きあります。

 

しかし、僕はこの終わり方で大満足です。

 

前半こそベンがアダムに食われてると思ったけど、最後はやっぱりベンのほうが素敵だったから。

 

この映画が問うているのは

人生の成功とか失敗とか、勝ちとか負けとかって、なんだろう?

ということではないでしょうか。

運命のように君を愛してる

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2014年

チャン・ヒョク

チャン・ナラ

チェ・ジニョク

 

1話を見た時は「なんじゃこれ」でしたよ。

あの悪評高い(チャンヒョクの芝居がかった笑い)シーンから始まり、

わざとらしい演出、マカオでの強引でありえない展開。

バカバカシイ・・・と。

1話見て、止まってたんですよ。続き見る気しなくて。

TV放送のやつ、ある程度録りためてから見ようと思ってたんですけど、全部消去しちゃおうかなぐらいな感じで。

しかし、思いとどまり、しばらく間をおいて、まあ見るものもないし、しかたなく2話見てみたら、

オヤオヤ・・ゴンさん、素敵じゃん。

カジノシーン以降はもうすっかり夢中ですよ。

毎回号泣の連続。

名シーンは、へービーローテーションで何度も巻き戻し、再生を繰り返し、

昔のビデオテープだったらもう、ぶよぶよに伸びてますよ、きっと。

消去しなくて本当によかった。あぶないあぶない。です。

そんなわけで、マイベストシーン列挙します。

見た人には分かるかも、あるある風に。

見てない人には何のことやらでしょうけど。

まあ、ネタばれしてもおもしろくないので。

素敵な作品ですから。見てない人はぜひ見てください。

 

ゴンのカップ、渡すシーン。

酔ったゴンが部屋を間違えて「ミヨンシ~・・・・」

雨の植物園「チュチュター・・」

「コラボ」終わって、エレベーター前でのシーン。

ゴンの自撮りビデオ、ミヨンさん勝手に見ちゃったシーン。

まだまだたくさんあるけど、

ちょっと変な人だけど、やさしいゴンさん。

地味で見た目もパッとしないバカお人好しだけど、やさしいミヨンさん。

そんなふたりのやさしさに心震えます。

やっぱり、チャンヒョクとチャンナラの目の演技が素晴らしいんです。

シング・ストリート

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2015年 アイルランド・英・米合作 ジョン・カーニー

 

 

「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の半自伝的作品で、好きな女の子を振り向かせるためにバンドを組んだ少年の恋と友情を、1980年代ブリティッシュサウンドに乗せて描いた青春ドラマ。大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。さらに家では両親のケンカが絶えず、家庭は崩壊の危機に陥っていた。最悪な日々を送るコナーにとって唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と一緒に隣国ロンドンのミュージックビデオをテレビで見ること。そんなある日、街で見かけた少女ラフィナの大人びた魅力に心を奪われたコナーは、自分のバンドのPVに出演しないかとラフィナを誘ってしまう。慌ててバンドを結成したコナーは、ロンドンの音楽シーンを驚かせるPVを作るべく猛特訓を開始するが……。(映画COM)

 

青春映画としては普通。

複雑な家庭環境に翻弄されながら、恋とロックに打ち込む中学生の主人公を描いた作品としては、アニメなどでもよくありがちな話です。構成や演出も特別新しさや驚きはないですが、うまくまとまっているという印象で、退屈することなく引き込まれます。このうまくまとまっている、というのが実はありそうでなかなかなく、一定の評価はできますけど、一部のSNS上で大絶賛の嵐だったような、そこまでの感じは僕にはありませんでした。

 

音楽映画としては力がある。

時代設定は80年代ということで、出てくる楽曲やPVは当時の感じを巧みに表していて、当時のブリティッシュロックにハマていた人たちにはたまらないのではないでしょうか。僕自身はそれほど熱狂的に洋楽にハマったタチではありませんが、世代的にはちょうど中学生から高校生ぐらいにかけて、デュラン・デュランとか流行っていた世代です。なんとなくPVも目にはしていましたので、コナーたちのPV製作シーンは今からすれば決してカッコイイというものではありませんが、チープだけど情熱だけはギラギラと伝わってくるこんなPVあったなあと、クスッとさせられました。

コナーが作る曲は、映画の主人公が作るオリジナル楽曲としてはかなりクオリティー高いと思います。歌詞の内容もコナーの映画の中の行動ときちんとリンクしていて心に迫るものがありました。決してスマートでカッコいいものではない、むしろくそダサく、野暮ったいんだけど、パッションが、力強さがあるんです。

 

特筆すべきは、主人公コナーのいじめにたいする対応。

 

冒頭で荒れた公立校に転校した主人公コナーは、結構ないじめにあうんです。

いきなり個室に連れ込まれてどつかれたり、校長から茶色の靴は校則違反だからと脱がされたり。しかし、本人はどこ吹く風と顔を上げて堂々と校内を歩き、果敢に女の子に声をかけ、恋をして、バンドを組んで、PVを作り、と青春を謳歌するんです。

 大抵、こういういじめにあう話では、最後は克服するにしても、もう少し苦しんだり、悩んだりしてるところを描くものでしょう?

 

実際にこのようないじめにあったことのある人が見たら「え?そんな簡単じゃないだろ」と違和感を感じるのではないでしょうか。

 

しかし僕は、この映画の感じよくわかるんです。「そうそう、そうなんだよ!」と心の中で拍手喝采してしまいました。

 

僕も学生時代、結構ないじめにあったことがありました。ある日、登校して下駄箱を開けたら上履きがカッターで切り刻まれていたんです。仕方なく裸足のまま堂々と教室に入り席に着いたら、椅子の上に画びょうが並べられていたりして。

その画びょうを取り払って席に座り、ホームルームが始まると担任の先生が僕の裸足に気が付いて「なんで裸足なんだ」て言われたんで、正直に言ったんです「下駄箱開けたら上履きが切り刻まれていましたから」と。

すると担任の教師「なら購買行って新しいの買えよ!」

で、クラスメイトら大爆笑でした。

その後も、いじめ的なことは多々ありましたが、僕は別に気にせず、毎日ちゃんと登校しそれなりに青春を謳歌しました。バンドはやりませんでしたが、当時トムクルーズハスラー2の影響でプールバーが流行っていて、ビリヤードによく行ったり。ボーリングやカラオケも行ったし、色恋の1つや2つもありました。

今考えればあの担任の言葉はひどいもんですが、当時の僕はあの担任の言葉に救われたところあるんです。

 あの担任が熱血教師で、魔女狩り的なことやられたら、もう立ち上がれないほどツラかっただろうと思いますよ。

 

あのサイテーな言葉だったから、ホームルームが終わって、僕は顔を上げて立ち上がることができたんです。

あの担任教師や上履きをカッターで切り刻んだ奴より僕は、少なくとも人として劣っているとは思わなかったから。

 

最近はといってもここ数十年、日本の学校では、どうもいじめ問題に過敏に反応しすぎな気がします。と言っても実際の現場は知りませんから、マスコミ情報から察するにですが。

 

デリケートな問題ですし、一概なことは言えません。人それぞれ、ケースバイケースで対応策も違うと思います。

されど

この映画は今、いじめに悩む若者たちにとって、一つの対応策を指し示す道しるべとなるんじゃないでしょうか。

 

終盤、文化祭みたいな舞台で演奏したとき、「ホモやろー」とヤジられて

「そんなヤジつまんないよ」

毅然と言い放って、盛り上がらないバラードを歌いだしたコナーの姿は圧巻でした。

幸せをつかむ歌

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メリルストリープが売れないロックミュージシャンを演じ、娘役に本当の娘が出演したことが話題となった作品。

他のバンドメンバーはほとんど本物のミュージシャンを起用しているという。

ギターも歌もメリル自身がこなすというのはさすが。

音楽的クオリティーも高い。

ただ若干、音楽シーンに力を入れすぎている感があり、ミュージカル調になっているのは残念。特にラストの結婚式のシーン。ロックとミュージカルは合わない気がする。

ミュージカルじゃないけど・・・。

トーリーは、家族を捨て、音楽活動に突き進んできたロックミュージシャンが年老いて、子供たちとの関係を見つめ直す話。

最近見た作品ではアルパチーノの「Dearダニー君への歌」も同じような話で、記憶に新しく、まあ、ストーリーに新しさはない。

そんなわけで、そこそこ面白かったけど、評価としては普通。

印象に残っているのはバンドメンバーのリックスプリングフィールドがメリルを励ますシーン。その言葉(セリフ)もさることながら彼のロックミュージシャンとしてのワイルドな風貌に、どこかアンバランスな優しげな目が深く心に残った。

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リックスプリングフィールド

 

あとはメリルの実の娘メイミーガマーのどんよりした顔。

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メイミーガマー

 

ソング・オブ・サンデー  藤堂志津子

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ジャンルでいえば比較的軽いラブコメに分類できますが、

私の好きな小説ベスト10に入る作品です。

本作の簡単な説明をするのに実にちょうどいいので、冒頭の書き出しをそのまま抜粋します

 

 

ドライブに行く約束の今日の日曜日だった。

 4日前の晩に電話をかけてきて、挨拶もそこそこにそれを言ってきたのは鉄治からで、利里子はとっさの事にまごついた。

 知り合って2年になるけれど、これまでいっぺんもそういった誘いを受けたためしはなく、だいたいが、そとで食事をしたり映画を観たりという間柄ではない。

 二週間か十日に一度、仕事帰りの鉄治がふらりと利里子の家に立ち寄り、玄関先で立ち話をしていく、といったつきあいがずっとつづいていた。

 

 

絵描きの利里子(42歳)と、彼女の自宅のリホームを手掛けた事で知り合った大工の鉄治。二週間か十日に一度、玄関先で立ち話をしていく関係を2年間続けた後のある日曜日。互いの飼っている犬を連れて初めてドライブデートに行って、帰ってくるまでの1日の話です。

 

藤堂さんの作品の真骨頂は男女の微妙な関係を描く事だと思います。最近の流行はみずみずしくもどこか白々しい純愛劇か、もしくはドロドロの愛憎劇、といった極端にデフォルメして描いているものが多いように感じます。本作はその中間の程よいところを平静にすり抜ける感じが逆にスリリングでドキドキするんです。実際のリアルな恋愛も「こういうもんだよな」と思います。しかし、小説やドラマなどのフィクション界ではポピュラーではないようで、あまり他にこういうところ描いたものって少ないんです。そこがまたいいんです。

文章は気取らない文体で読みやすく、言葉がすっと心に入ってくるんです。まるで小田和正さんの歌のように。それでいてシンプルな言葉の並べ方にもやはり、作家としてのウイットには富んでいて、そこかしこでクスっとさせられます。さらに、エンターテーメント性の強い比較的軽めのなんてことない恋愛ストーリーの中に、人生観をも揺るがすような心に響く一文がちょいちょいあるんです。そこがたまりません。

 

 その中の私の好きな一文を本文から抜粋してこの本の紹介とさせていただきます

 

 

「おばさんも。いえ、おねえさんも若すぎると思う?」

「そうねえ。むずかしいわねえ。若いと結婚に失敗するとも限らないし、結婚に失敗したからって、それで一生を棒に振るわけでもないし、たとえ一生を棒に振ったって、それはそれで一つの人生だし、でも、一生を棒に振るって意味が、そもそもよくわからないし、私は、トシこそくっているけど、若い人たちに適切なアドバイスをしたり、お説教をするってことがどうもできないたちなのよね。どうしてかっていうと私自身が全然人生をわかってないみたいで」

 

!少々ネタバレあり!

 

 鉄治はちょっとガサツな性格。すったもんだ道中いろいろあり。帰りに鉄治の実家に寄った際の事。実は鉄治はバツイチで20歳の息子がいる事が判明。元妻とは死別。息子は実家に預け別居中。その息子が就職するに事になり、身元保証人の印鑑を押すために立ち寄った。しかし息子の竜治から不意に18歳の彼女サチを紹介され、結婚したいと告げられ激怒。その空気に耐えられず家を飛び出したサチが、家の前の路上に駐車した車の中で待っていた利里子と遭遇した時の会話。サチは利里子を鉄治の彼女と思って・・

 

 

人生の成功とか失敗とか、勝ち負けとか、一時の事で判断はできない

 

そんなことを感じました。

海峡 伊集院静

 

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───少年にとって、父はそびえる山だった。母は豊かな海だった。

土木工事や飲食店、旅館などで働く50人余りの人々が大家族のように寄り添って暮らす「高木の家」。その家長の長男として生まれた英雄は、かけがえのない人との出会いと別れを通して、幼い心に生きる喜びと悲しみを刻んでゆく。瀬戸内海の小さな港町で過ごした著者の懐かしい幼少時代を抒情豊かに描いた自伝的長編小説。

「海峡」「春雷」「岬へ」と続く3部作の第1部───

 

大人になるにつれて、時間がたつのが早く感じる、という話をよく聞きます。

僕もまったくその通りです。

1日はおろか、1週間があっという間に過ぎ、あれよあれよと季節が変わり・・・

2~3年前なんて、ついこのあいだのように感じます。

それは大人になるにつれて五感のアンテナ感度が鈍っていくせいではないでしょうか。

 

この作品はまず、その五感をフルに使った情景描写がすばらしいです。

主人公の高木英雄は10歳の少年。その少年の目線で実に多彩な角度から情景をとらえていきます。

海峡の流れの描写から始まり

燕の巣を作ったり、大空を舞う鳩を追いかけたり、高木の家の中央にそびえる柳の木の葉の音に耳をすましたり、雲を人の姿にみたてたり、風の流れを読んで紙飛行機を飛ばしたり、虫を追いかけ、季節の匂いを感じ、野球選手のサインボールを見せる見せないで喧嘩したり・・・。

とっくに忘れ去っていた幼少期の感受性が呼び覚まされました。

僕も幼少期には、こういう感覚が確かにあったんです。

アリの巣をつついたり、メンコ、ベーゴマ、夏にはセミを捕まえたり、クワガタを捕りに行ったり、沼にはいって泥だらけになりがら夢中でザリガニを捕まえたり。

懐かしさと共に、失っていた心の感受性の大切さに気付かされました。

僕はこの話に出てくるような昭和(・・・)の(・)子供(・・)ギリギリ最後の世代(S47生)ではないかと思います。

4歳下の弟がいますがその弟はファミコン世代で、もうザリガニなんか獲ったことないといいます。

もう少し若い世代の人たちにはこういう経験はさらさらないでしょう。

だから悪いとか、今の子供たちは可哀そう・・・なんていう気はありませんが

ああいう幼少期を過ごせたことは宝物ような日々だったと思います。

 

高木英雄の父、斉次郎はほとんど家にいません。

だから英雄は周囲の大人たちからいろいろなことを教わります。

これがまたすばらしいんです。

この作品はサスペンスも、入り組んだ伏線も、大どんでん返しもありません。

全体的な評価としてはやや間延びしていると言えなくもないです。

世間一般的な人気がいまいちなのも、そのせいではないかと思います。

ただ、主人公の英雄が出会いと別れを繰り返し、ほろ苦エピソードが淡々と語られていき、その都度、大人たちが助言をくれるんです。

この助言が力強く心に響きます。

僕はこの作品読んだの、今回で2度目です。

最初に読んだのは文庫化された直後(平成14年)だから、もう15年前の事。

誰の助言が一番心に残ったか・・・前回と今回では少し違っていました。

この助言の数々、すべて紹介したいぐらいですが、まあ作品の肝なのでそこは読んでのお楽しみということで。

 

今回1番心に響いたサキ婆の言葉だけ紹介します。

「英坊ちゃん、人間はちっぽけなもんですぞ。ちっぽけじゃから大きい気持ちで生きて行かんといけません。あの山みたいに大きゅうにね。絵を描くことも大事でしょうが、もっともっと大事なことがありますぞ。それは生きて生きて生き抜くことです。山の爺さまが言っとったでしょう。いつも誰かが見とるって。サキ婆も遠い国へ行っても、英坊ちゃんを見とりますぞ」

 

この物語のテーマは、とにかく生きろというこではないかと思います。

人間生きていれば、つらいことや、悲しいこと、寂しいことはたくさんある。

そうであっても結局生きるしかない、ということではないか・・・と。

 

 

すっかり忘れていたけど・・・

キャッチボールの仕方、泳ぎ方、自転車の乗り方、逆上がりの仕方、

すべて父親が教えてくれたんだったな・・・僕の場合。