takeの感想文マガジン

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本日は、お日柄もよく  原田マハ

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フェイスブックの読書グループで紹介されていたので興味を持ち

「何度も泣きました」「言葉の持つ力に感動」「元気が出るお仕事小説」

との帯に心ひかれ文庫購入しまして。

原田マハさんの本。はじめて読みました

私的感想。結論から言うと「う~ん」星1.5点。(5点満点)

スピーチライターの話です。

 

───OL二ノ宮こと葉は、想いを寄せていた幼馴染、厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。

ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説───

 

 との背表紙のあらすじを読み、

伝説のスピーチライターの祝辞?涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチ?

と、期待を胸にワクワクと読み進めたのですが・・

まずそのスピーチが僕の心には何ら響かず、よくある眠いスピーチにしか感じられなかったのです。

その前に一つどうも作品に入り込めない引っかかり要因があって

その時点でちょっと否定的な目線になっていたのかもしれませんが。

その引っかかりとは、冒頭幼馴染の結婚式のシーンから始まるのですが

主人公はその会場のホテルを2流と揶揄し、おばあちゃんも2流といい、久遠久美も2流といい、他にも何人か・・要するにみんなが2流というわけです。

主人公は密かに想いを寄せていた幼馴染の結婚式なわけですから

ヤサグレてる感じでそういうのは分かるんですが、他の人が何人も、かりにも結婚式の会場を口をそろえて2流2流と揶揄するのは不自然に感じ・・・。

ああ、この人(作家さん)は結局自分の考えを登場人物に言わせちゃう人で、登場人物がそれぞれの人格を持って作中に生きていない。ただの作者の腹話術人形になっちゃってる人かなって・・・。

 キャラクターが立っていない。

 言葉尻、話し方はそれぞれ変えているけど、中身はみんなマハさん・・・。

 

スピーチライターが実際どういう仕事なのか良く知りませんが、政治家のスピーチライターになる場合、政策秘書とは違うわけで、スピーチライターが自身の政治観を表に出すのはいかがなものかと思いますよね。そこはむしろあえてドライに徹するべきで。

まるで影のフィクサーのごとくスピーチライターが政局を左右するような描き方をしているのは「う~ん」です。

作者自身民主党寄りのお考えなのか、「郵政民営化」とかなり具体的に描き、小泉政権時代の自民党を批判しており、まあそれはいいのですが、その批判もワイドショーのコメンテーターの域を出ていないのが「う~ん」です。あまりリアルに政治的な思想を描くのもどうかと思いますし、どうせかくなら、作家としてなるほど、そうういう見方もあるかと何か新しい切り口を見せてくれればまだしもですが・・。

そんなわけで星1.5点です。ほぼイイところなしです。

1つイイところを上げるなら、最後、久遠久美がこと葉の結婚式で披露した祝辞です。

結婚式のスピーチとしてはタブーとしていた「本日は、お日柄もよく」というまくら言葉。

あえて織り込んだ短くシンプルなスピーチ。

あとがきを読んで知ったのですがこの作家さん美術関係が専門で真骨頂は

「楽園のカンヴァス」にあるようで

次はそれを読んでみてからこの作家さんの評価を判断したいと思います

 

ちょっと偉そうな厳しい批評になってしまいましたが

この話ネット上で調べるとかなり評価高くて、

「え!ほんとに?」

という思いが募り、本音むき出しでついつい辛口になってしまいました。

SNS上であまりネガティブなことは書かないほうがいいという空気ありますけど

僕はそれは危険な気配を感じます。

まるで戦前の情報統制のような事、自主的にやっているような・・・

「君の名は」や「ポケモンゴー」など

本当にそんなに面白いの?

みんながイイって言ってるから、あえて茶々入れる必要ないし

みたいな事で否定的なこと誰も言えなくなり

ますます過剰評価のウエーブが大きくなり

みんなが一つの方向に突き進むという

それがもし戦争だったら・・・

今の世界情勢ではそんな危惧も現実味を帯びてきて・・

空気に便乗せず、自分の意見をしっかり言っていきたいと思います。

 

「バカ」とか「死ね」とか中身のない誹謗中傷はいけませんがね。

 

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