北の国から84夏
「子供がまだ食ってる途中でしょうが!!」
かの有名なラーメン屋の回ですよ。
僕は、北の国からシリーズ、暗いとか悲しいとかいう受け止め方はしないタチですが
この回はさすがにちょっと暗いですね。
というのも、この回、純の「ずるさ」「きたなさ」「弱さ」に焦点を当てた話になっていて、
新築した夢のログハウスが火事になるのもこの回です。
出火原因となったのは純が薪ストーブの上に濡れた衣服を放り投げた事
それを「よく覚えてません」とトボケた純。
正吉は純をかばって、やってないのに「僕がやりました」
と相変わらず男らしい。
そのせいで、村ではまた正吉が五郎さんに迷惑かけた事になってたり。
東京から来た新しい友達を川で溺れさせたあげく
裸のままで置き去りにしたり
冒頭から悪ガキの悪行ぶりが延々と描かれるわけです。
そのくせ自分は悪くないと言い張り、人のせいにする。
見ててかなり癖易ですが、
思い起こせば自分もこんな悪ガキだったわけで、
世代も純君(吉岡秀隆)と同世代で、吉岡氏のほうが2歳ぐらい上かな
まあ、昭和の悪ガキですよ。
僕も、いま思えばけっこう危ない事やってましたよ。
一歩間違えたら死んでてもおかしくないって事も1度や2度じゃないですよ。
なんていうんでしょう、
物の善悪は分かってるんですけど、
例えば、調子に乗った時、悪ノリする時のボーダーライン?
ココを越えたら「やばいぞ」っていう感覚みたいなのが
大人よりずっと鈍いんですね。
今の感覚では信じられない事、平然とやるんです。
現代は子供の遊びに親が付いていくようで
公園デビューうんぬんとか、それもどうかと思いますが
昔の放任主義もよくあれで大きな事故が起きなかったなあと
不思議に思いますよ。
まあ、鈍いなりにも、もってたんでしょう。
「ココを越えたらやばいぞ」っていうボーダーライン。
話ちょっとそれましたが
結局、家は廃屋をタダ同然で買い、またランプ暮らし。
風力発電も森の中で風があまり来ないでうまくいかず
そもそも、ログハウスの借金だけが残って、朝から晩まで働き詰めの五郎。
純「水力発電はダメなの?昔の父さんだったら、そうしたはずでしょ?」
五郎「いつやれってんだ!父さんもうヘトヘトだぁ~」
暗い中、さらに険悪な黒板家の食卓。
雪子おばさん(竹下景子)は草太兄ちゃん(岩城滉一)をふって、元カレ(村井国男)と東京へ帰る。
ここでの草太兄ちゃんの振る舞いがまたカッコいいんだ~。
周りの人たちは雪子に対して冷ややかで、特に、見送りにも来なかった純と正吉に対して
「お前たち。オラに義理立てして見送りに行かなかったのかもしれんが、それは間違ってる。
雪ちゃんはずっと前からあの人のことが好きだったんだ。8年間、ずっと好きだったんだ。
それは凄いことだ。わりこんだのがオラだ。オラのでる幕じゃねえ。オラの完敗だ」
と、雪子を非難するようなことは一言も言わない。
置き去りにした友達は肺炎で入院したが、命に別状はなく退院。
正吉もさすがに純のずるさに険悪ムードのまま、母のもとに帰ることが決まり。
そんな正吉をみんなで駅まで見送って。
それでラストのラーメン屋のシーンです。
いままで、すべて正吉のせいにして悪いのは自分じゃないと言い張っていた純が
「悪いのは僕です」
とカミングアウトするわけです
ここが、純君のいいところなんです
汚かったり、ずるかったり、弱かったり
そういうところはあっても
最後は、(そのドラマの回の最後は)反省し正直にカミングアウトするんです。
僕なんか少年時代の悪行、姑息な所行、人のせいにした事
今だに誰にも打ち明けてないままの事
たくさんありますよ。
五郎も「以前の父さんなら、水力発電に挑戦したはずだって、あれ、お前に言われたとき、ドキッとしたよ。父さんいつの間にかそういうパワー無くしてた」
と、自分の非を認めました。
閉店時間を過ぎ、イライラした店員のおばちゃんが
「もう閉店です」と
純がほとんど手をつけていないラーメンを下げようとしての
「子供がまだ食ってる途中でしょうが!!」
です。
人間の強さって何だろう・・・・
自分の弱さ、ずるさ、きたなさを認める心、
そして他人にもあるそういう部分を理解する思い
ではないだろうか・・・・
なんてことを考えさせられた、名シーンでした。