takeの感想文マガジン

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北の国から89帰郷

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この回、以前見た時はけっこう重く

(工場での傷害事件のイメージが強く残っていたので)

辛い回だったような気がしてたのですが

今回、一連のシリーズ最初から順に見返してきてみると

けっこう軽くて笑える回です。

 

冒頭から蛍の恋の話。相手は緒方直人。

前々から思ってましたけど、倉本聡氏はどうも恋愛ドラマは得意じゃないようで、

高校生の恋にしては妙にジトジト湿っぽく、

それでも、ギャグと軽妙な掛け合いばかりに力を注ぐ恋愛ドラマよりはいいと思ってたのですが、今見ると、こちらはこちらで不自然に湿っぽく、もはやコントを見てるようで笑ってしまいます。

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終盤の純とレイちゃんが札幌で再会するシーンにしても、あれもう高校生の男女じゃないですよ。どう見ても中年の不倫カップルのようなジットリ感。

僕もあの時代(80年代後半)青春時代を過ごし、それなりに出会いと別れを繰り返しましたが、もう少しサラッとしてましたよ。特にあの時代はバブリーな時代で世の中カラッと爽やかな空気がありましたし。

というわけで、今回の「89帰郷」恋愛部門は僕にはお笑いシーンにしか見えずこれ以上は語りません。

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やはり、この回は傷害事件のシーンが核心です。

ネット上での他の人のレビューも幾つか読ませていただきましたが、

解釈がそれぞれあって面白かったですし。

 

あらすじ簡単に説明しますと

 

 ───東京で定時制高校に通いながら、昼間は自動車整備工場で働いている純。

 前回、「初恋」のラストで古尾谷雅人扮するトラックの運ちゃんから「一生ととっておけ」と言われた泥のついた1万円札2枚。もらった日付を書き込んで定期入れの中にお守りのようにしまっておいたやつ。がない。前日、バイクの窃盗容疑で警察にしょっぴかれた純。

そのことで職場の仲間にも警察の事情聴取が入り、特に上司の水谷はかなり苛立っていた様子。冷静さを失った純は水谷の仕業と思い、暴れる狂うように水谷のロッカーを激しく漁る。そこへ親友のアカマが来て暴れる純の背中にしがみついて、盗ったのは俺だと白状する。

アカマは、病気の親に仕送りするため、半年前、水谷からお金を借りていた。それが半年で倍の利息を付けられ、返済を迫られていたのだ。アカマはかねてより純の定期入れの2万円の存在を知っていて、切羽詰まりそれを拝借して水谷に渡していた。純は、あの札はお守りのような大切な札だから他の札「3万円と交換してください」と水谷にすがりつくが、水谷はもともと純に苛立っていたうえに、犯人に疑われ完全に頭に血がのぼっていて、取り付く島も無く、「誰がお前なんかに渡すか!」と殴り倒される。倒れた純。近くに、鉄のバールが落ちていたのを見て、それを手に立ち上がり、背後から水谷に襲いかかった。

結局、水谷のケガはたいしたことなく放免された純だが、家(雪子おばさんの)に帰ると、おじさん(村井国夫)に「髪も金髪にして、バイクを乗り回し、いつから不良になったんだ」なじられる。純は「理由は聞いてくれないんですか?」とふてくされ、「人を傷つけた事は悪かったけど、他は何も悪い事はしていない、僕は不良じゃない」と家を飛び出し、雨の中電柱をバシバシ殴る───

 

という話です。

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他の人のレビューでこのシーンの解釈、面白かったのは

(この人も僕と同世代ぐらいで、純君(吉岡氏)とも同世代ぐらいな様子)

イムリーに放送された時には純の気持ちがよくわかり、村井国夫が嫌な大人に見えた。

が、今、自分が中高生の息子を持つ親の歳になって見返してみると、純の気持ちが全く分からない。というものでした。髪を金髪に染め、バイクを乗り回し、傷害事件で警察の厄介になれば立派な不良で村井国夫の言っている事はごく当たり前のこと。それにふてくされて「僕は不良じゃない」とは何事だ、意味わからん、という意見でした。

 

僕はこの人と真逆なんです。

昔、タイムリーに見た時は純の気持ちがピンとこなかったのですが、今回見返してみたら、純の言ってる事がごく当り前に思え、村井国夫の言ってる事がピンとこないんです。

 

まず、純が水谷を鉄のバールで殴った事。

一歩間違えば相手が死んでいてもおかしくない事です。

今回はたまたま運よく事なきを得ましたが、殺人未遂行為ですし、傷害行為です。

いかなる理由があろうとも、決してやってはならない事です。

と、その僕の考えは昔も今も同じです。

村井国夫もその事は純に言っているので、昔見た時は村井国夫が当然の事を言っていて、

なのにふてくされてる純の気持ちが分からないと思ったのです。

しかし、村井国夫はその事はさらりと流し、その後、金髪にした事、バイクに乗りまわすこと、をとりあげて不良だと言い出したわけですが、ここが余計だったんです。

金髪にすることとバイクに乗る事は別になんら悪いことじゃない。

傷害事件ともなんら関係ない事です。

純はそのことにふてくされ「僕は不良じゃない」と飛び出したわけです。

「人を傷つけたこと、いかなる理由があろうとバールで殴った事が間違った事だ」と焦点を絞って言えば純も、もう少し素直に聞いていたと思うのですが。

この回、純が金髪に染めたのを見て、雪子おばさんが怪訝な顔で「お父さんに見せられないでしょ」とか、純自身も、これで正月は富良野に帰れないとか、窃盗容疑で警察に聴取された時も金髪だからお前がやったんだろう的な事を言われたり、金髪=不良が布石として随所にちりばめられているんです。昔見た時はそんなに気にならなかったんですよ。確かにあの時代は金髪=不良みたいなところはありましたから。しかし、今見るとものすごい違和感があるんです。今の感覚では金髪だから何だというものですよ。今は別に金髪の若者がいたって、その人を不良だなんてだれも思わないですよ。純もこころの声で、「髪の色はあくまでセンスの問題であって、不良じゃない」と言っていて、まったくその通りだと思いましたよ。しかし当時としてはそういう感覚はむしろ異端で進んだ考えだったんですね。

倉本聡氏がこの回で言いたいテーマは、

「人に外見や瞬間的な言動でレッテルを貼るのはいかがなものか」

ということではないかと思いました。

洞口依子扮するエリちゃんの存在も

昔はいまいちよくわからなかったのですが、

今回はなるほどそういう事かと合点がいきました。

エリちゃんは、いわゆるヤリマンとかオサセとか言われるたぐいの女の子。僕の学生時代にもそういう噂のある女の子は何人かいて、「あいつと関わらないほうがいい」みたいなフレが回ってきました。僕はそういう話、うのみにはしてなかったと思いますが、特にそういう女の子と関わる機会もなかったので実際がどうだったかは知りません。エリちゃんの場合は実際にそうで、ボートで(純が)襲われるのですが、川だか池だかに突き落として、純は例によって姑息に逃げるんです。なのにエリちゃんは、どうやらチンピラ風情の兄貴にその事を言いつけもせず、のちに例の泥のついたピン札、一緒に捜しまわってくれるんです。

 エリちゃん、こんなイイ女だったんだ

と、今回はじめて気づきましたよ。

ヤリマンとかオサセにしたって、金髪と同じようなもので、今思えばだから何というもの。

女の子がやりたがる事だって別に普通の事ですし。

 

純もエリちゃんもあの時代にいれば不良のレッテルを貼られる人物。

確かに、外見や言動のセンスは少しずれている(悪い)。

しかし、その中身は純朴さの中に一本筋の通った気概を持っている。

なかなか魅力のある人物です。

特にエリちゃんがイイ女に見えたのは今回の収穫。

今までは、やっぱりどこか不潔っぽいイタイ女に見えていたとおもいます。

 

ただ、単純なレッテルで人を見てしまうのはつまらないですね。

 

それはそれとして

それでもやっぱり

 

僕は「人は見かけによらない」とは実は思っていません。

むしろ「人は見かけによる」と思います。

髪の毛の色ひとつ、髪型、服装、顔つき、目つき、服装、着こなし

すべてがその人の人物をあらわしている。

と思っています。

外見で他人にどう思われても、それは自分の責任。

それを意識して、髪型なり服装なりをチョイスするのが大人というもの。

純もあの時代に金髪にするという事は

不良というレッテルを貼られることはある程度予想できる事で、それが嫌なら金髪にしなければいいし、それでもしたいならそれなりの覚悟と責任もってやればいい。

あと、バールで人を殴るというのは明らかにいけない事。

そこはもう少しちゃんと言ってもいい気がしました。

倉本聡氏が、暴力的な事について、むしろ寛容な目線を持っているのは、のちの岸谷五郎の登場回や今回の、純が富良野に帰郷し、風呂に薪をくべながら五郎に傷害事件の事を打ち明けるシーンでも伺える事で、そこはちょっと僕と感覚が違うんです。

村井国夫が聞いてくれなかった傷害の理由を五郎は聞いてくれて

「男は戦わなきゃならん時がある」

とカッコいい事を言ってくれるんです。

昔はこのシーン感動した覚えがあるんですが、

今回は「ん?」とひっかかりました。

戦わなきゃならん時があるのはわかるど、

戦い方、間違ってませんか?

 

とそんな事考えさせられた今回の「89帰郷」でした。