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「北の国から89帰郷」ドラマ感想

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~~完全ネタバレ超長文注意報~~

今回はまずは蛍の恋の話です。

中学を卒業した蛍は旭川定時制看護学校に通っています。

毎日五郎が日の出前に富良野の駅まで送っていき

朝から旭川の病院での実習勤務。午後は勉強という感じで。

その通学の電車の中でいつも一緒になる気になる男(緒方直人)。

もちろん声などかけられず遠めの席からチラチラ見てるだけの蛍。

男が読んでいる宮沢賢治風の又三郎」を自分も買って読んでみたり。

――昭和な恋だぜ蛍。

と、蛍が働いている旭川病院の肛門科にその電車の男、和久井勇次(緒方直人)が患者としてやってきたことから仲良くなり、デートを重ねる様子がダイジェストで流れ・・

一応付き合い始めたのかな・・・。

勇次は3浪の予備校生。富良野から旭川の予備校に通っている。

親や親せきからは東京の予備校に行くように勧められているが、

ダム建設で沈むことが決まった故郷の滝里村にできるだけ長くいたいと思っている

蛍を連れて滝里村に行った時

「東京なんか、行きたくねーんだ!」

と泣きながら木にH・Ýと蛍と勇次のイニシャルを彫るシーン。

――タイムリーに観た時は唐突で意味わかんないシーンだったけど。

ダム建設に対する怒り。無念。なにげに描いて。

郷愁。いずれ訪れる蛍との別れの予感。やるせなさ。3浪のプレッシャー。家族の期待。

蛍もそんな勇次の気持ちは痛いほどよくわかっていて何も言わない。

ただ背中から抱きつく・・・って。

高校生の恋にしてはジメジメしすぎ~と、以前はちょっと小ばかにしてたシーンだけど

いやいやなかなかいいシーンではないですか。

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さて、その頃、東京の純は・・・。

髪の毛金髪に染め、夜な夜なバイク(原チャリ)乗り回し、プチ不良になってます。

学校はちゃんと通っているようですが、昼間の仕事は長続きせず、1年半で3回変わって今は自動車整備工場で働いています。

400ccのバイクを何やら怪しげなお兄ちゃんから買おうとしています。

その仲介役としてまた更にヤバそうな女、エリちゃん(洞口依子)との出会い。

――この洞口依子扮するエリちゃんの存在も昔はいまいちよくわからなかったのですが、

今回はよくわかりましたよ。エリちゃんは、いわゆるヤリマンとかオサセとか言われるたぐいの女の子。ボートで(純が)襲われるのですが、川だか池だかにエリちゃん突き落として、純は例によって姑息に逃げるんです。なのにエリちゃんは、どうやらヤクザ風情の兄貴にその事を言いつけもせず・・・。

おやおやエリちゃん。もしかして本気で純のこと好きなのか・・・。

純が金髪に染めたのは自分は「田舎者」「遅れているダサい奴」というコンプレックスがあり、とにかく東京の人に追いつきたい、東京らしい「クールな奴」になりたい一心だったようで、エリちゃんも生い立ちになにがしかの近い感覚があって、純と共鳴するものがあったのでしょう。これは完全憶測だけど――

結局400ccのバイクを怪しいお兄ちゃんから買った純。

案の定、それは盗難車で。

警察にしょっ引かれ。金髪=不良=犯人。というお決まり偏見差別扱いされ。

夜になってなんとか釈放。

翌日、仕事終わってぐったりとロッカーに行くと、定期入れに入れていたあのお札がない。トラックの運ちゃんに「一生とっとけ」と言われたあの泥のついたピン札2枚。

純はかねてから何かとそりが合わない先輩の水谷を疑うが

犯人は親友のアカマンだった。

といっても、それは病気の母の治療費のために水谷からお金を借り、その返済を迫られて切羽詰まってのことだった。

純は水谷にあのお札は大切なお守りのような札だから、別の札3万円と交換してくださいとすがりつく。

しかし水谷は、犯人に疑われたことで完全に怒っていて取りつく島もなく

「持ってたってやるか!てめえなんかに」と、殴り倒され唾を吐かれる。

倒された純、近くにたまたま落ちていたバールを手に取り

「水谷~!」と背後から殴りかかった。

 

 

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再び警察のやっかいになる純。しかし水谷のケガは幸い浅く、放免。

家(雪子おばさんの)に帰ると、おじさん(村井国夫)に「一歩間違ったら殺人者犯だ、今頃」「髪も金髪にして、バイクを乗り回して、いつから不良になったんだ」と怒られる。純は、ふてくされた態度で「理由は聞いてくれないんですか?」「人を傷つけた事は悪かったけど、他は何も悪い事はしていない、俺は不良じゃない」と家を飛び出し、雨の中電柱をバシバシ殴る。

――このシーンも以前は、ふてくされる純の気持ちが全く分かりませんでしたが、今回は少しわかりました。

まず、純が水谷を鉄のバールで殴った事。一歩間違えば相手が死んでいてもおかしくない事です。今回はたまたま運よく事なきを得ましたが、殺人未遂行為ですし、傷害行為です。

いかなる理由があろうとも、決してやってはならない事です。

村井国夫もその事は純に言っているので、昔見た時は村井国夫が当然の事を言っていて、

なのにふてくされてる純の気持ちが分からないと思ったのです。

しかし、村井国夫はその事はさらりと流し、その後、金髪にした事、バイクに乗りまわすこと、をとりあげて不良だと言い出したわけですが、ここが余計だったんです。

純はそのことにふてくされ「僕は不良じゃない」と飛び出したわけです。

この回、純が金髪に染めたことで、金髪=不良が布石として随所にちりばめられているんです。昔見た時はそんなに気にならなかったんですよ。確かにあの時代は金髪=不良みたいなところはありましたから。しかし、今見るとものすごい違和感があるんですよねぇ~。

その後、エリちゃんが水谷から泥のついたピン札1枚取り返してくれて(おそらくヤクザの兄の力使って)使ってしまったというもう一枚を、一緒に探してくれるんです。

――純もエリちゃんもあの時代にいれば不良のレッテルを貼られる人物。確かに、外見や言動のセンスは少しはずれている。

しかし、その中身は純朴さの中に一本筋の通った気概を持っている。

今までは、どこか不潔っぽいイタイ女に見えてたエリちゃんが、イイ女に見えたことは今回の大きな収穫でした。

しかし、純にエリちゃんの想いは届かず、その後進展もなくお別れしたようです。

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職場もクビになり、富良野に帰郷する純。

(昨年の正月は帰らなかったようで。高校2年生という設定で学校は続けているので、上京以来初めて、2年ぶりの正月休み一時帰郷という事のようです)

髪の毛は金髪、手の傷を見た五郎は何も聞かず「好きなだけ寝てろ」とあたたかく迎えます。

夕方起きると草太兄ちゃん他、往年の富良野の番長たちが集まっていて・・・

純の金髪を強引に黒く染めてそそくさと去っていく。

それも温かい歓迎だと純にも分かって。

どこか吹っ切れた気分であいさつ回りに行くと、村のみんなが温かく変わらず接してくれる。

そして五郎が働いているという現場に行ってみる。

今回五郎は中ちゃんが始めたログハウスの分譲建売ビレッジのログビルダー(大工)として働いている模様。自分の畑では人参農業もやっていていつになく羽振りもよさそうで。

時代も89年ですから、バブル真っ最中です。

自分用に丸太の原木300本購入し、数年かけて一人でログハウスをまた建てようと、

余暇でコツコツ木の皮を剥いているわけです。

そこにやってくる純。

「お前もやってみるか」と純に皮むきを教えようと手を添える五郎。

「痛っ!」となる純。しかし何も聞かず・・・。

2人、そうして黙々と夕方まで皮むきやって。

五郎「どうやら蛍に男ができたらしいから見に行こう!」

と蛍を迎えに行き、こそこそ隠れて蛍と勇次の様子を見て大はしゃぎの二人。

――今回あたりから、以前、たまに見せた殺伐とした感情を子供にぶつけることもなく、よくものまねされる、コミカルで優しい五郎像ができてくるんですねぇ~。

しかし、勇次は東京に行くことになって。

見送りに行く蛍。

――この見送り方がまた昭和というか‥奥ゆかしいというか・・・。

勇次は、親戚やら友達やら大勢に見送られている。

それを、遠くからこっそり見ている蛍。

――なんだよ堂々と会いに行けばいいのにと思うんだけど

勇次は3浪の浪人生。来年こそはとみんなからの期待を背負って旅立つわけだから

女にうつつを抜かしていたなんて思わせたくない。

蛍の気遣いなんだな・・・。

ホームに立つ勇次。離れたところから見つめる蛍。

思えばいつもそんな見送りをする蛍でした。

そして風呂焚きのシーン。今回の名シーンはここです。

風呂に入ってる五郎。外で薪をくべる純。

「とうさん、僕、東京で人にケガさせたんだ」

「どうしてだ?」

「大事なものを、そいつに取られたから」

「それは、人にケガさせるほど、お前にとって大事なものだったのか」

「ああ」

「なら仕方ないじゃないか。男は何と言われても戦わなきゃならん時がある」

――昔はこのシーン感動した覚えがあるんですが、今回は「ん?」とひっかかりました。

村井国夫が聞いてくれなかった傷害の理由を五郎は聞いてくれて、優しく受け止めてくれるんだけど・・・倉本さんは、暴力的な事について、どこか寛容な目線を持っていて、他の作品でもなんとなく感じるんですが・・素手ならまだしもバールはダメです。調理人が包丁手に取って襲い掛かるのと一緒だと、そこはちゃんと言ってほしいと思ってしまい。

その後のやり取りは良かったけど

「父さん、俺、丸太小屋一緒に作りたいな。こっちで職探して、父さん手伝って一緒に丸太小屋作っちゃダメかな」

「そりゃ~ダメだ。あれは誰にも手伝わせない。誰の手も借りずに俺一人で作るんだ。俺一人暮らすための家だからな、とことん楽しんで作る。異常なほどでかい浴室作って。水は沢から引き、電気は引かない。天窓があって星だけが見える。星の無い日はさっさと寝ちまう」

――設計図には3部屋描いてたのに、精いっぱいかっこつける五郎なのでした。

そこへ慌ててやってくる蛍。

「お兄ちゃんこの曲。わかんない!富良野の純君へ。今札幌にいる大里レイからって!」

蛍が持っているラジオから流れてくる尾崎豊「アイラブユー」。

年明け、札幌にレイちゃんを探しに行く純。

ロイヤルホストでバイトしてるレイちゃんと再会できました。

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