takeの感想文マガジン

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北の国から92巣立ち

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この回から前篇・後篇の2部編成となり、エピソードも盛りだくさんになってきます。

しかし、一連のシリーズ、最初から見てくるとこの回、比較的軽く感じます。

 

それは、この回あたりから五郎さんが、コミカル路線に走りだし、初期のころの時折見せる眼光の鋭さはすっかり影をひそめ、ただただ優しいお父さん、純と蛍の帰りを待ちわびる寂しげなお父さんになっている事に起因していると思います。

 

五郎さん。ちょっと老けこむのは早いですよ。

 

純と蛍はこれからまさに「巣立ち」青春時代を謳歌しようという時。

そういう時にオヤジにしょぼくれられたら辛いですよ。

芝居でもいいからもう少し子供に気を使わせないような、

気丈なふるまいをしてもらいたいものです。

 

さて、今回はいちいちストーリー説明しているとかなりの長文になってしまいそうなので

印象的なシーン箇条書きに羅列していきます。

 

蛍は、旭川の看護学校に通いながら、帯広の勇ちゃん(緒方直人)と中距離恋愛?

を続けている。

途中富良野で乗り換えるのだが、改札は出ず、あえて素通り。

ずいぶん家には帰っていない。

その事を後ろめたく思いながらも実家に足が向かない。

五郎は、来年、蛍が卒業後は富良野の病院に就職すると思いこんでいて、

その事ばかり楽しみにしている。

蛍は実は、来年は札幌の大学病院で働き、正看護婦の資格を取ろうと考えているが、

それが言いだせない。

はっきりいって五郎と会う事に、気が重いのだ。

ある日、帯広からの帰り、富良野で電車を乗り換えた蛍は、数年ぶりに正吉に再会する。

正吉は自衛官となりますます男らしくなっていた。

正吉は「おじさんとこ行ってきたのか?」と当たり前のように聞くが

蛍は、ただ乗り換えてるだけでもう何か月も富良野の改札は出ていないと話す。

蛍は、今日ここで(富良野で)会ったことは内緒にしてほしいと言う。

正吉は、純も東京に出ていて、五郎が富良野に一人でいる事を知り

顔を曇らせ「絶対に言わねえよ」と蛍を責めるように言い捨てる。

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夏祭りの時、久しぶりに富良野に帰った蛍だったが、結局、五郎の家には泊らず

日帰りで旭川に帰ってしまう。

ガックリしょぼくれる五郎だったが、

「おじさんと飲もうと思って」と正吉が酒を持って来て、蛍のかわりに五郎の家に泊まる。

そして子供の頃迷惑をかけた事を謝り

(母みどりの借金を肩代わりさせた事。丸太小屋の火事の事)

「これから少しずつ返していきます」

と2万円を渡す。

いらないと返そうとする五郎に

「俺、おじさんの息子と思ってますから」

 

クゥ───やっぱイイ男だぜ。正吉。

 

 

草太兄ちゃんの結婚式。

トラクターで登場中の新婦アイコ(美保純)が流産。

病院での清吉(大滝秀治)の言葉。

「あいつはバカだ。考えりゃあ分かることだ」

「妊娠5カ月でトラクターに乗せて・・・」

「でもワシ止められんかった」

「あいつがバカみたいにはしゃいでる姿見て」

「どうしてもワシ止められんかった」

 

過疎の酪農の家に、ようやく来てくれたお嫁さん。兄たちは都会に出ていき、草太も若い頃は嫌で嫌で仕方なかったのが、なんとか留まって。医者にはダメかもしれないと言われていた子供を授かって、絶頂に浮かれる草太。八幡丘でド派手な結婚式を開催。自分は馬で登場して、アイコはトラクターで登場する。みんな「バカだなあ~」と思いながらもそこに水を差す人はいない。草太の気持ちがわかるから。ずっと苦労してきた草太の気持ちがわかるから。看護婦見習いの蛍だけは「トラクターに乗せるの止めたほうがいい」とはっきり言うが、聞く耳持たない草太にそれ以上は言えない。そして案の定・・・流産。

 

あえて冷たく言えば人災ですよ。明らかに防げた人災。

みんなが草太を思う気持ちがもたらした人災です。

しかし、これがリアルなひとの人生というもの。

他のドラマでこういう事あまり描きませんよ。これが倉本聡の真骨頂だとおもいます。

ただ悲しい事故で涙を誘ってるわけではないんです。

そこに生きた人間の想いを描いているわけです。

 

人生は人の気持ちでうごいてるんだなあ

そんな事、感じました。

 

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東京の純。タマコ(裕木奈江)との恋の末

タマコ妊娠。堕胎。

タマコのおじ(菅原分太)に呼びつけられ

かぼちゃを差し出しひたすら謝る五郎と純に

「誠意って何かね」

と、あの名セリフ。

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五郎は自分の家の丸太小屋のために用意してた丸太100本300万円で売る決意。

3年間、こつこつ一人で皮をむいてきたあの丸太。

大工の棟梁(大地康雄)「どうするんだそんな金。あんたには大金だろう」

五郎「大金だ。ギリギリの大金だ。誠意ってやつさ」

 

結局、五郎が送ったその金はタマコから純に返される。

タマコ「誠意はわかったから、受け取れない。おじさんがそう言ってた」

タマコ「私たちもう大人なんだし、自分で決めて行動したんだから自分たちで責任取らない と・・私、純君とのこと後悔してないから」

 つとめて爽やかに、去っていくタマコ。

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なら初めからそう言ってくれよ

 

思わずそう思ってしまいました。純もそう思ったのではないかと思います。

しかし、そういうものでもないのでしょう。

やはりこれもすべてが必要なギリギリのプロセスだったのかな

(タマコがそう言えるようになるまでのプロセス)・・・そんな事を思いました。

なんとも言えないシュールな話の連続です。

 

そして、この回「92巣立ち」はここからの話がいいんです。

北の国から」というシリーズ全体のメインテーマが集約されている

名場面へとつながっていきます。

 

丸太を失った五郎は、石で家を作ることを思いつく。

開拓時代に排出した石の山がそこいらじゅうにあるを見て。

大きな風呂に入りたいと風呂だけ先につくったのはいいが水が無い事に気づき、

ならばと自力で井戸を掘りはじめる。

中畑や棟梁はどう頑張っても素人に井戸なんて掘れるわけないと変人扱い。

純と蛍が正月に帰ってくるのに間に合わせたいと思い、必死にがんばった五郎。

ついに井戸を掘りあてた。

 

大みそかに帰ってきた純はタマコから返されたあの金を五郎に返す。

が五郎は受け取らない

「俺にも意地がある。一度やったもんはいらん」

しかしそれは怒ってるわけでも気を悪くしてでもなく

不敵に、にこやかに笑いだし

「金を失って、オイラ、でっかいもんをみつけたんだ」

「ずっと忘れてた、大きな事を思い出したんだ」

「金があったら、そうはいかなかった」

「何?見つけた事って」

「金があったら、金で解決する」

「金が無かったら、知恵だけがたよりだ」

「知恵と、てめえの持てるパワーと・・」

 

蛍を駅に迎えに行く五郎と純。

改札を出てきた蛍を大喜びで迎える五郎。純。

が、蛍の顔は固い。背後に勇ちゃんも来ていた。

とりあえず富良野の病院の先生のところに挨拶に行こうという五郎に

蛍は先延しにしていた札幌の大学病院で働きたいという話をする。

これからすぐに帰れず、勇ちゃんと札幌の病院の先生に挨拶に行くと。

ガックリ肩を落とす五郎。純と二人で家に帰る。

五郎と二人きりの純はたまらず車を借りて蛍を迎えに行く。

一人残された五郎は、石の風呂に行く。

あたりは吹雪。風呂の水は氷っている。

屋根には大量の雪。雪下ろしをしようと屋根に登った五郎。

足を滑らし落下し、木材の下敷きとなる。

身動きできない。

その頃、純は蛍を連れ、家に戻ってくる。

が、五郎はいない。純と蛍は、石の風呂の事は知らない。

夜中になっても帰ってこないことに、おかしいと気づき。

ようやく探し始めるのが夜中の2時。

中畑や棟梁の家を回り、結局、見つかるのは朝方。

五郎は、マイナス20度の吹雪の中、8時間さらされていた。

が、奇跡的に助かる。

翌日、みつけてくれた大工の棟梁にお礼のあいさつに行く純と蛍。

「医者も奇跡だって言ってました」

そして大地康雄扮する大工の棟梁の言葉。

「それは違うな・・・それは違うよ」

「奇跡なんかじゃない、犬を抱いてたせいでもない」

「身動きできなくなった体で・・」

「おそらく、その針金で、シートを手繰り寄せ・・」

「こう、体におおって、吹雪から身を守り・・」

「これを見てみろ」

スコップ。柄の部分が削られている

「木を削って、燃やそうとまでしてる」

「あいつは自分で生きたんだ」

「お前ら若いもんにこの真似が出来るか」

「お前らだったらすぐに諦めてる」

「諦めて、とっくに死んでる」

「あいつはすごい」

「たった一人で・・・」

「俺は涙が出る・・本当に涙が出る

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この後、蛍は札幌に行くの止めると言いだす。

純は、今更そんな事言っても父さんは傷つくだけだだから

蛍は黙って札幌にいけと言う。

そして、今度は俺が富良野に残ると。

「前からなんとなくは考えてたんだけど、棟梁の言葉で決心がついた」

 

「なんとなくだけど、やりたい方向性が見えてきた気がするんだ」

 

金では買えない大切なもの。

知恵と、自分の手と足と、根気。

お金は無くとも、素朴に、力強く生きる五郎の生き方を

純も素敵に思えるようになったということだ

と思いました。