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takeの感想文マガジン

映画・ドラマ・アニメ・読書・の感想・レビューを綴るブログです

北の国から98時代

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今回は前編・後編合わせて6時間と長い尺ですが、内容は比較的薄い印象です。

あくまで北の国からシリーズの中では、長い割には、という意味です。

トーリーのメインは

蛍の結婚と

草太兄ちゃんの死。

イムリーで観た当時、″草太兄ちゃんを死なすのは反則だよ倉本さん“と思ったものでした。

それは確かに、泣けるイイシーンにはなってますけど、

草太兄ちゃんは北の国からの大黒柱といっていい存在です。

それを死なすというのはもう終わりを意味すると言ってもいい。

そうすることでしか物語を盛り上げられないと言うなら、

倉本さんも焼きが回ってるんじゃないか・・・。

なにか、もっと、違う方法で盛り上げてほしいと、思ったものでした。

 

蛍の結婚について

 

不倫して駆け落ちした医者の先生との恋は終わり、

蛍は札幌で一人暮らしてます。

お腹には先生の子供がいて、先生にはその事を告げず、一人で生んで育てようとしています。

その事を富良野の人間で唯一、蛍から打ち明けられたのが草太兄ちゃんです。

「最近の若いもんはすぐ堕ろすとかなんとか・・」

「蛍みなおしたぞ。おら、お前の味方だ」

と、お金を貸してくれます。

その後、草太兄ちゃんは正吉を呼び出し

「正吉、蛍と結婚しろ」

「あいつの腹の中には不倫相手の先生の子供がいる」

「いいか、その事は五郎おじさんや純にはだまって、お前の子供として育てろ」

「五郎おじさんの気持ち考えろ」

「黒板家はお前にとって家族だろ」

正吉は、ほとんど迷わず、札幌の蛍のところに行き

「結婚してくれ」

とプロポーズをします。

「草太にーちゃんになんか言われたの?」

という蛍に

「草太にーちゃんは関係ない」

と、昔、子供の頃、蛍からもらった年賀状を見せます。

正吉が、五郎の丸太小屋で純や蛍と一緒に暮らしていた時

居候の正吉に年賀状が来ないのを気遣った蛍が、正吉宛に書いた年賀状です。

「あの時から俺の中にはずっと蛍ちゃんがいたんだ」

「言ったらいけないと思ってたけど」

 

───いいプロポーズじゃねえか正吉。

 

しかし蛍は

「気持ちはありがたいけど、それ以上言わないで」

と、断ります。

 

───まあ、それはそうだろうな。

 

その後、札幌でスナックをやってる母のところに寄った正吉は、

結婚したい女がいるんだけどまだ口説けてないと話します。

ちょうど有線から加藤登紀子「100万本のバラ」が流れていて

「女は押しに弱いもんだよ」

母みどりは「100万本のバラをあげよ~」鼻歌を歌います。

バラって1本いくらするんだ」

本気で計算する正吉

「5億かかるじゃねえか!」

と、富良野に帰ります。

そして正吉は、富良野のいたるところにたくさん咲いている

オオハンゴンソウという黄色い野草を毎日刈り取ります。

蛍のうちにオオハンゴンソウが大量に送られているカットがあり

その後、

ある日、家に帰ってきた正吉は改まって純の前に座り

「実は子供が出来た」

と言います。

「なんだ、堕ろすなら早くしたほうがいいぞ」

という純に

「結婚するつもりだ、相手は蛍ちゃんだ」

純は最初は怒りますが、まあ正吉ならいいかと、むしろ祝福する感じになり

その後3人で五郎にも報告します。

五郎も祝福してくれて、あとは順調に結婚式を迎えます。

この回はその蛍と正吉の結婚式がクライマックスとなる・・・

 

と、だいたいこんな話ですが・・・。

 

他人の子供がいる蛍にあっさり、葛藤も無くプロポーズした正吉をどう見ます?

普通は、この葛藤をテーマにしただけで、12話ぐらいの恋愛ドラマ出来ちゃいますよ。

最近韓国ドラマをよく見るのですが、韓国ドラマはだいたいがこういう要素含んでます。

主人公は実の親じゃない親に育てられ、愛情に飢え、復讐にかりたてられ・・

みたいな話ごまんとあるんです。

まあ、韓国ドラマはちょっと大げさ(劇場的)かと思いますけど、

それだけ重大な問題である事は間違いないはずなんです。

───その子供を本当に自分の子供と同じように愛せるのか───

という葛藤です。

その葛藤をまったく描かなかったのは、なんなのか。

正吉はほとんど迷わず、取るに足りない問題と判断しました。

純なら、ウジウジ、ネチネチ相当迷うところです

そこは、さすが正吉、男らしい。

と言うべきでしょうか・・・

思えば、正吉とは昔からこういう男だったんです。

正吉じゃなければ、このいさぎよさはリアリティが無いとも言えなくもない・・・

正吉じゃなければ成り立たない話です。

このシーンは、子供のころからの正吉を

ずっと見てきた人じゃないと府に落ちないかもしれません。

問題なのは蛍の気持ちです

一度プロポーズを断った蛍が、100万本のバラならぬ、100万本のオオハンゴンソウでころりと気が変わってプロポーズを受け入れる、というのをどう見ます?

 

イムリーで観た時は、まったく府に落ちなかったんです。

僕は、かねてより、花とか風船とか大量に送ってプロポーズするとか、電光掲示板貸し切って、愛してると表示させるとかいうたぐいの恋愛話は、バカバカしいと思うたちで、そういう事で、ころりと気持ちが動く女心というのも、全く分かりませんでした。

しかし、今回見て気づいた事があるんです

それは蛍がオオハンゴンソウで一杯になった部屋の中で、懐かしそうにオオハンゴンソウの匂いを嗅いでいるほんの一瞬のカットです。

おそらく蛍は、未婚の母になると決めた時、もう富良野には帰らない決心をしてたんです。

オオハンゴンソウの香りは蛍にとっても、子供のころから慣れ親しんだ懐かしい匂いです。

富良野への強烈な郷愁に襲われ、五郎や純や富良野の人たちが目に浮かび、これ以上背を向けて生きてはゆけない、と思ったのではないでしょうか。

仮に5億円かけて100万本のバラを送っても蛍の心は動かなかったかもしれない。

オオハンゴンソウだったからこそ蛍はプロポーズを受けたんだと

今回はじめて気が付きました。

それにしても

これだけの深い重いテーマを含んでいる蛍と正吉の結婚に至る過程のエピソードを

あまりにあっさりと描いているところは、

やはり「北の国から」は決して恋愛ドラマではない

という倉本さんの断固たる意思の表れではないかという気がします。

もう少し、今回は無駄なシーン多かったように思えたので、それならば、この部分を、

せめて蛍が正吉のプロポーズを受け入れるシーンぐらいは描いてもいいんじゃないかと思いましたが、やっぱりここはあえてあっさり描いたのでしょう。

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草太兄ちゃんの死について

 

僕は冒頭でも言いましたが、

イムリーで観た時

草太兄ちゃんの死については否定的でした

倉本さんの脚本家としてのやり方に対してです。

草太兄ちゃんの死のドラマとしての内容は、これ以上ないというぐらい有効な

イイシーンでしたよ。

確かに泣きましたよ。

純が草太兄ちゃんと喧嘩したような状態で

前日、トラクターを運ぶのを手伝えと言われたのを断って

一人でトラクターを運んだ草太兄ちゃんが

トラクターの下敷きになって死んじゃって

牛舎で純が頭をバコバコ打ち付けるシーンは号泣でした。

極めつけは

蛍の結婚式で草太兄ちゃんが生前スピーチ練習したカセットテープ流したシーン

 

そこまでして泣かせたいのかと

 

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しかし

今年はもう2017年です。

98年にタイムリーに放送された時代からさらに20年近く経ち

僕も″アラフィフティー”です。

それなりに身近な人間の死というのも経験してきました。

そういう立場であらためて見ると

このシーン、別に過剰演出の、劇的なドラマチックな、死に方ではないんですね。

こういう事は、誰しもが背負っている普通の事なんです。

あの時、ああ言えばよかったとか、なぜあんな事言ってしまったのかという後悔・・

祝い事と不幸が重なるというのも、リアルな現実によくありがちな話なんですね。

ようするに

反則的に″お涙ちょうだいに“に走っていたわけではなく

ごく普通の、リアルな現実の1コマを切り取ったに過ぎない

これまでと変わらない「北の国から」の平凡で、素朴な話だったんです

 

純とシュウのシーンについては今回はノーコメント。

まあとりあえず、お付き合いは続いているようです。

 

その他にも、草太兄ちゃんの農業拡張問題、

有機農法に挑戦し失敗した完治と農業の厳しい現実

など、見どころはたくさんありますが

総評としては、若干テンポが悪く、間延びした印象でした。