takeの感想文マガジン

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ジブリ「風立ちぬ」感想~駿さん、ラストメッセージとは~

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公開 2013年

監督 宮崎駿

 

幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎は、震災の混乱の中で、少女・菜穂子と運命な出会いを果たす。やがて飛行機設計技師として就職し、その才能を買われた二郎は、同期の本庄らとともに技術視察でドイツや西洋諸国をまわり、見聞を広めていく。そしてある夏、二郎は避暑休暇で訪れた山のホテルで菜穂子と再会。やがて2人は結婚する。菜穂子は病弱で療養所暮らしも長引くが、二郎は愛する人の存在に支えられ、新たな飛行機作りに没頭していく。

(映画COMより)

 

イムリーに劇場で観た直後はかなりディスったものです。

ジブリ史上サイテー作だと・・

その理由は・・

夢を都合よく使いすぎ。

カプローニさん=駿さんで、メッセージをストレートにしゃべっちゃってる。

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実在の零戦設計者が主人公という事で、

幼い頃の純粋な夢が戦争に利用されていく苦悩を描く話かと期待していたら

全くそのあたりは描かれていない。

戦争の気配はほとんど感じない。

それでは零戦設計の話にする意味がない気がするが・・そこは100歩譲って

ふつうのひこうき開発の話と思って観ても。

始めから期待のホープと優遇され、海外視察チームには真っ先に選ばれ、

帰国後はプロジェクトリーダーに抜擢。

何度か失敗もするが

社内立場的には常に安泰。苦労もない。

裏ではしてるのかもしれないが、描かれていない。

池井戸潤的、技術者の社会派職業ドラマを期待していたら

肩透かしを食らったのでした。

 

いやいや・・

今回、2度目の鑑賞で解りました。

これは初めから恋愛ものと割り切るべきでした。

主線は恋愛ストーリーで副線が飛行機設計の話。

すると途端に、儚く切なくも、けなげに力強く生きる

主人公二人の恋の話が素晴らしく思えてきます。

サナトリウムから飛び出してきた菜穂子。

駅に迎えに来た二郎。

抱き合う二人。

「私、一目会えたら、すぐ帰るつもりだったの」

「帰らないで。ここで一緒に暮らそう」

庵野さんの声が物議をかもしだしていますが、

このシーンのため(庵野さん起用)だったのじゃないかな・・。

庵野)二郎にこんな情熱があったのか・・・と。

声高に叫ぶのではなく、あの朴訥とした静かな声だからこそ

その内に秘めた燃えるような想いが伝わってくる。

そして素朴な結婚式。

即興ですばらしい仲人をした黒川夫妻。

今回鑑賞で一番の涙シーンでした。

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また最後にサナトリウムに黙ってこっそり帰っていく菜穂子。

僕なら、妹の加代と同様に「ふざけるな!」と

激怒して追いかけたことでしょう。

しかしこれが女心ってものなのかな。

・・・切ないじゃないですか。

 

この作品で

引退を発表した駿さんが最後に語りたかったのは

「精いっぱい生きなさい」

という事でしょう。

仕事に、恋に。

時代や運命に翻弄されながらも精いっぱい生きた二郎と菜穂子。

結果はハッピーではないけれど・・・

精いっぱい生きたんです。

 

エンディングはユーミンの「ひこうき雲

イメージにぴったりでもう・・。

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