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「風の谷のナウシカ」アニメ映画感想

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公開 1984
監督 宮崎駿

あらすじ
舞台は「火の7日間」といわれる最終戦争で現代文明が滅び去った1000年後の地球。人類は、巨大な虫や、猛毒の瘴気を放つ植物が生息する森・「腐海」に脅かされながら生きていた。マスクなしでは5分で肺が死ぬ。そんな腐海のほとりにあって、海からの風とコツコツと植林してきた森のおかげでマスクなしで生活できる奇跡の谷の小国「風の谷」。その王の娘ナウシカは、人々が制する中、グライダー型の飛空艇メーヴェを操り、果敢に「腐海」に足を運び、人々が忌み嫌う巨大な蟲・オームとも心を通わせ、「腐海」の謎を解き明かそうとしていた。そんなある日、「風の谷」に巨大な輸送機が墜落、ほどなく西方のトルメキア王国の軍隊が侵攻してきて・・ナウシカは人間同士の争いに巻き込まれていく。
(アマゾン商品紹介より)

 

‼ネタバレ全開です‼

前回述べたジブリ基本理念、だいたい全部詰まってます

もののけ姫」「天空の城ラピュタ」もテーマ的に描いていることは
かなり似ています。
どれが好きかは人それぞれの好みでしょう。
僕の好みではやはり「ナウシカ」に軍配です。
もののけ姫」は後半の展開が難解。
ラピュタ」は前半が子供っぽい。
ナウシカ」は序盤から不当な侵略を受け、父親を殺され・・
中盤以降も終始、過酷な状況が続き、陰鬱。
しかし、そこから「許し」の話が一番強調されているのが
ナウシカ」ではないでしょうか。

輸送船を助けようとし、死者は丁重に弔ったのに
風の谷は侵略され、父親は殺され
それでも許し
父の敵である女指揮官クシャナを助けては
また銃を向けられて
それでもまた許し

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ペジテ国の青年アスベルを救っては
ペジテ国の人たちにオームの大群を風の谷に差し向けられ
それも許し
やられても、やられても許すナウシカ

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ナウシカとて聖人君主ではありません。何かの宗教の信者でもない。
始めに父親を殺されたときは、怒りに任せてトルメキア兵を殺しているし。
ナウシカは言います
「私 自分が怖い。憎しみにかられて何をするかわからない。
もうだれも殺したくないのに」

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それ以降、自分の感情と戦いながら、
必死に我慢しながら許して許して許してきたナウシカの姿が胸を打ちます。
また、王である父が死んでから、風の谷の姫として、谷の民たちを毅然として導く姿・・
これもきっと無理して無理して、必死にそう振舞おうとしていたのでしょう。
腐海の上空で
マスクを外してジイちゃん3人衆を励ますシーンは本当に胸が熱くなります。

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ラストのファンタジックな感じを、どう見るか・・。
この作品の好みの割れるポイントでしょうか・・。

怒ったオームの群れの前に降り立つナウシカと傷ついたオームの子供。
あっさりと弾き飛ばされて・・・。
しかし、突然オームの動きが静まり・・
金色に輝くオームの触手の草原の上を異国の青い服を着たナウシカが歩いていく。
ナウシカは元気にみんなのもとに帰り、オームの群れは森に帰り、トルメキア軍も引き上げていく。ペジテの人々は風の谷に受け入れ、森を植林し、
風の谷の復興を予見させてめでたしめでたし。
とはなんだ?・・と。

超勝手な自論解釈その1
オームは例えばイルカのようなテレパシー能力があり、群れ全体で意思疎通が出来る。また、過去の記憶なんかも共有できる。ナウシカは幼い頃オームを秘かに飼っていた。そのオームがナウシカに気が付いて守ろうとし。それが他のオーム全体に伝わり静まった。触手には治癒力があり傷ついたナウシカの体を治した。青い異国の服は、ペジテの女の子にもらったピンクの服が泥だらけになって、
遠くから見たら青く見えた。なんてのはどうでしょう。

しかし、僕としてはこのあたりの終わり方はもはやどうでもいいんですよ。
例えば、リアル路線で、
ナウシカが弾き飛ばされた。
オームの暴走は止まらず風の谷もトルメキア軍もみな壊滅させた。
やがてオームは静まり、数人の風の谷の民は生きていたが・・
ナウシカは帰ってこず・・たぶん死んだ・・もしかしたら生きてるかも。
なんて終わり方だとしても・・・。

大事なのは、降り立つ前までのナウシカの生きる姿勢なのですから。

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もう一つ語っておきたいのが
ジイちゃん3人衆の存在感。
基本シリアスで、重く、過酷な状況が続く中で
このジイちゃん3人衆のとぼけた、呑気な感じが
観てる観客にとっても一服の清涼剤となるんですね。
実はこの中の一人ギックリの声優さん、
昔のテレビアニメ「ヤッターマン」のボヤッキーの人です。
ヤッターマンといえば、ドロンジョ率いる悪の三人組(ドロンジョ、トンズラ、ボヤッキー)が正義の味方ヤッターマンと戦う話。
毎回、やっつけられるドロンジョ一味。三輪自転車でへこへこ逃げていき。しかし、次回にはけろっと別のロボットを作ってまたヤッターマンの前に現れるという。
僕は子供のころ大好きでした
「やられてもやられてもなんでもないない」
というエンディングテーマの1フレーズを今だに鮮明に覚えています

やられてもやられもなんでもないない・・・
そう言える強さ・・。
この作品にも感じます
腐海の胞子に風の谷の森が汚染され、焼き払わなければならなくなったとき
「水と風は100年かけて森を育てるんだ」と谷の人たちは落胆します
しかしジイさん3人衆はひょうひょうとしています。
100年を、一瞬にして失っても
木はまた植えればいい・・と言わんばかりに。

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自然と共に生きる人の強さというのかな。
自然は時に容赦なく、人の営みなど一瞬にして飲み込む
そういう自然の猛威にやられなれてる人たち。
やられることに対しての強さ、たくましさ。
壊滅からでも、身一つ、生きてさえいればまた復興できるんだと
そんなことを感じるエンディングでした。

しかし、被災地行って仮設住宅にいる被害者さんに
それ言えるかと言われたら、言えませんよ。
自分がそういう目にあった時に、この作品を思い出せればいいな~。
という事で・・。

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