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「キネマの神様」原田マハ 読書感想

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初版 2011年5月 文春文庫

 

あらすじ

39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、しかも多額の借金が発覚した。 ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることになった。〈ゴウ〉のハンドルネームで父が書くコラムは思いがけず好評を博し、借金とギャンブル依存から抜け出せそうになるが、ある時〈ローズ・バッド〉を名乗る覗の人物に反論されて……。 〝映画の神様〟が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。

(アマゾン商品紹介より)

 

マハさん読むの3冊目です。

これまではう~ん、イマイチ合わないな~という印象で、「もういいや」と思うんだけど、しばらくするとまた、つい手に取っちゃうんですよね~。

本屋さんに並んでると、タイトルが際立って優しそうなんですよ。

特に小説、文学というのは人の業や心の闇を描いた作品が圧倒的に多い中、

ゆる~くやさし~く光の部分にスポットを当てているというのかな。

それはもうおめでたすぎて興ざめするところも多々あるんですが・・。

本作もまさにそんなマハさんブシ炸裂の一冊でした。

この本の最大の見せ場は、

ゴウVSローズパット。

「フィールドオブドリームス」についての映画評対決。

それが端を発し話題が話題を呼び廃刊寸前の映画雑誌とミニシアター「テアトル銀幕」の存続の窮地を救い、壊れかけた家族の絆も救うという・・。

そしてローズパットの正体が・・・「そりゃありえねえだろ~」という人物。

まあいろいろツッコミどころも多く、決して絶賛して人に勧めたくはありませんが、ところどころ不覚にもホロッとさせられるところもあって・・

結局、やさしくて温かいんですよ。全体の雰囲気として。

映画好きにはおなじみの映画が取り上げられてるのもたまりません。

七人の侍」「硫黄島からの手紙」「ニューシネマパラダイス

そしてシネコンVSミニシアターなど、劇場を取り巻く環境問題にも触れてたり。

登場人物たちの映画愛に溢れた作品でした。

 

今まで読んだマハさん作品の根底のテーマとしてうかがえるのは

何事に対しても人の行動指針の原点は「好き」であるかどうか

で、いいんじゃないか・・と。

そこはすごく共感できるんです。

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