takeの感想文マガジン

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「フルメタルジャケット」映画感想

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製作 1987年 米

監督 スタンリー・キューブリック

出演 マシュー・モディーン

   リー・アーメイ

   ビンセント・ドノフリオ

 

あらすじ

ジョーカー(マシュー・モディーン)、アニマル・マザー(アダム・ボールドウィン)、<デブ>のレナード(ビンセント・ドノフリオ)、エイトボール(ドレイン・ヘアウッド)、カウボーイ(アーリス・ハワード)他、全員が地獄の新兵訓練所に投げ込まれ、情け容赦ない教官ハートマン(リー・アーメイ)に鍛えられる。

後半は厳しい訓練を終え、ベトナムに出兵。舞台となるフエ市を悪夢のどん底に落とし入れた戦闘を描く・・。(アマゾン商品紹介より)

 

これは観る人の感性によって響き方も大きく変わるのでしょう。

 

僕はどうも合わないな~。

キューブリック監督は「2001年宇宙の旅」「時計仕掛けのオレンジ」は観たけれど、ある意味前衛芸術絵画のような感覚重視感は共通しているというか・・

場当たり感というか、その場のライブで撮ってる感じがあるんですよね~

例えば兵士が撃たれて死ぬシーン。

前半は、あっさりと死が描かれていきます。

アクション映画の小悪党の死のようにあっさりと。

訓練所のシーンもそうだし、前線に行ってからの市街地戦でも最初の隊長が死んだシーンもあっさりだし。

それが、終盤になって、エイトボールが撃たれたシーンでは

急にスローモーショーンで引っ張り始め、周りの連中も、仲間を助けに行くんだと大騒ぎしはじめたり。

カウボーイが撃たれたときだけ、みんなで取り囲んで励ましながら・・

プライベートライアン」方式の看取り・・・。

なんか統一感ないな~という印象で・・。

ああ、別に

統一感がないからダメというわけではなくて、

無造作にペンキをまき散らしたような前衛芸術の絵ように

ある人にとっては幼稚園児の絵のようにしか見えず数百円の価値もないとしても、ある人にとっては数億円の価値がある・・そういう種類の作品だと言いたいわけです。

僕にはその価値がいまいち分からなかったというだけです。

そしてまたラストシーンがそんなに大仰に引っ張るシーンかな~と

なんかまとまりなく何を伝えようとしているのかわからない印象のままエンドロールを迎えてしまいました。

DVD特典の解説を観て

監督がこの作品で描きたかったのは

「どこにでもいる平凡な若者が狂気の兵士に変貌していく過程だ」

と聞いて、なるほどそれは言われてみればそうだなと思いました。

いつもお馴染みのアメリカ映画の海兵隊訓練所鬼教官のウジ虫扱い。

この作品はそこが特に際立って執拗に描かれていましたが。

ああやってまず人の自我とプライドと尊厳を奪い

思考停止した殺戮人形を意図的に作ろうとしているのですね。

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しかしそれならばやっぱりラストシーンの描き方は中途半端だと思っちゃいます。

ジョーカーが狂気の殺戮者となって終わりというなら、狂気の兵士に変貌していく過程を描いたことになるけど。

主人公のジョーカーは終始ほぼ平静な人間性を保っているし

ラストのベトコンスナイパーに対しての首切りも

あれだと温情によるカイシャクとしか思えないし・・・。

DVD特典の解説によれば本当はベトコンスナイパーの首を手に掲げてお祭り騒ぎするはずだったのが、興行主から横やりが入って泣く泣く変更したのだとか。

そこ変えちゃあ駄目だろう・・狂気を描きたいなら・・と思うのですが。

いやいや・・。

途中。ジョーカーが「BORN TO KILL」(生まれながらの殺し屋)

と書いたヘルメットを被り、胸にはピースマークバッジ(ベトナム戦争反対派のシンボル)をつけていた事を上官に問われ

「人間の二面性を表現してるんです」

とトボけたようにこたえるシーンがあるけど、まさにこの映画のテーマもそこなのかな・・

人間の中にある狂気と慈悲の心二面性。

う~ん。だから何だと言いたくなってしまう・・

いやいや。まてよ。そうか!

狂気の中で平静を保とうともがいた男の話と受け止めれば

泣けてくるではないか!

訓練所での狂気。戦場での狂気。その中で狂気に飲み込まれないようもがいていた主人公ジョーカー。訓練所でのレナード「袋叩き」に参加したことが唯一

狂気に負けたシーンだったけど・・それ以外はいつも狂気に反抗していた。

おかげでレナードのお守役をさせられたり、最前線に送られたり。

いらぬ苦労を背負い込んでしまうジョーカー。ああ泣ける泣ける。

よしもう一度観て・・・って、ありゃ?

返してしまった・・・。

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