「光をくれた人」映画感想
公開 2017年
監督 デレク・シアンフランス
出演 マイケル・ファスペンダー
感動とか泣くとかいう事はなかったけど
観終わってから余韻に浸りながらあれこれ考えるとジワジワと面白くなってくる
そんな作品でした。
このデレク・シアンフランスという監督さん「ブルーバレンタイン」と本作、立て続けで観ましたけど面白い問題提起をしてくる人だなあ~という印象です。
そして男がいつも不器用すぎる・・・。
ブルーバレンタインのディーンはゆとりなくいつも不機嫌男
本作のトムは信念ブレブレで決断甘い男
!!以下はネタバレ要素含みますので観てない方はご注意ください!!
そもそも結婚してあの島に彼女を連れて行った時から・・・
おいおい、愛する女をあんなとこに連れていくかぁ~と
誰もいない僻地で二人きりの生活・・
ロマンチックなのは分かるけど、地に足付けた生活ではないでしょー
トムも最初にピクニックに行ったときはそー言ってたじゃない
文通してる間にトムの閉ざした心に光をくれたというのは分かるけど
100歩譲って結婚したまではいいけど、単身赴任しろよ!単身赴任!
なんてことは野暮なツッコミとして・・・。
何といってもトムの一番最大の罪は、二度目の妊娠の時です。
一度目の時は仕方ないにせよ
なぜ、出産に備えて実家(町)に返さなかったのか
一度目の失敗を何も学習してないではないか‼
コノバカチンが‼と
僕は「北の国から」が大好きで田舎暮らしに憧れて
かなり真剣に考えましたけど、結局いつも病院問題がネックでした。
この作品の場合、否定的な感想の人はまずあの妻の決断が悪いというのが多いようですが・・。
僕はあのタイミングであんなことがあったら、女性なら誰でもああいうのではないかと思います。
あの妻の懇願はあたりまで、やはり夫が毅然とはねつけるべきだったんです。
そうしない決断をしたのなら、もう後ろは振り返らず
その罪を墓場まで持っていくべきだったんです。
トムもむろんそうしょうと思ってはいたんだろうけど・・
身近なところで実際に苦しむハナに出会ってしまい・・・
自分の罪悪感に耐え切れずにわざとばらすような手紙をポストに投函しちゃって・・・
なんだよ、今更、正義感振りかざすのかよ~と
もう、信念ブレブレで鑑賞中は終始イライラと観てたのですが・・・。
鑑賞後の余韻に浸りながらクールダウンしていくうちに
まあ、言うは安しだよなあ・・
みんなそうやってブレブレで(揺れながら)生きてるんだよなあ~
と思うようになり。
途中でも、ブレブレでも引き返して罪を償おうとしたトムの姿は、立派だったんだな~
と思えるようになりました。
最初、イザベルにとっては裏切り行為にしか思えず「一生許さない」と恨んだ気持ちも十二分にわかるんですけど。
この作品の第一の問題提起は
一度ついた大嘘(大罪)は最後までつき通して、墓までもっていくか?
途中でも引き返して償うべきか?の葛藤の話。
これは当然ケースバイケースだけど
この映画のトムの場合でいうなら、墓まで持っていくべきだったという人も結構いるのではないかな~。僕も鑑賞中はそうでしたから。
あと思い浮かんだのが福山主演の邦画「そして父になる」
あれは幼いころに病院の医療ミスで子供をとり違った二組の家族が
子供が6歳の時に気付いて、さあ元に戻すか、どうするかという話です。
血縁か?育ての親か?という葛藤の問題提起。
僕は、邦画の方は迷う余地なく育ての親派です。
6年という時間がもう絶対的にかけがえがないと思うからです
本作の場合、トムが戻そうとしたの4歳?だとするとギリギリ修正可能な年月で
血縁に戻すのもありかなあと思えますが・・・
しかし何よりも最初が「不慮」か「故意」かの違いが大きいし・・
となると邦画とは本質的に違い同列には語れないか
ただ、子供にとってみれば「不慮」だろうが「故意」だろうが
今まで親だと思ってきた家族と引き離されて
全然知らない人に突然本当の親は私だと言われても
とてつもない恐怖だろうなあ。
などとそんなことをつらつらと考えました
まとまらない文章ですいません
結局何か言いたいのかというと、
率直に大きな感動はしませんでしたが
最終的にはトムの行動を納得することができ
鑑賞後の余韻であれこれ考えて、十分に楽しめた作品でした。
ストーリー
心を閉ざし孤独だけを求め、オーストラリアの孤島で灯台守となったトム。
しかし、美しく快活なイザベルが彼に再び生きる力を与えてくれた。
彼らは結ばれ、孤島で幸福に暮らすが、度重なる流産はイザベルの心を傷つける。
ある日、島にボートが流れ着く。
乗っていたのは見知らぬ男の死体と泣き叫ぶ女の子の赤ん坊。
赤ん坊を娘として育てたいと願うイザベル。
それが過ちと知りつつ願いを受け入れるトム。
4年後、愛らしく育った娘と幸せの絶頂にいた2人は、偶然にも娘の生みの母親ハナと出遇ってしまう―
(アマゾン商品紹介より)