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「とある飛空士への追憶」アニメ映画感想

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2011年 アニメ映画

 

───二国間戦争のさなか、名もなき飛空士・狩野シャルルは類まれな操縦技術をみこまれ、次期皇妃ファナ・デル・モラルをその婚約者カルロ皇子のもとに水上偵察機で送り届ける極秘任務を命じられた。護衛を付けず一機で敵中を突破する危険な任務だ。

次々と襲ってくる敵空中艦隊と戦闘機を超絶なテクニックでしりぞけるシャルル。命をかけた空の旅のなかで、ファナの閉ざされた心は開かれ、しだいに二人はひかれあっていく。やがて来る絶体絶命の危機の中、ファナのとった行動とは…。そして二人の恋の行方は…?(アマゾン商品紹介より)

 

 シャルルは「ベスタブ」と呼ばれる差別階級の底辺の人種で、ファナとは本来顔を見ることすら許されぬ天と地ほどの身分の差があります。

このアニメ映画の良さは、そんな二人の会話の絶妙な距離感にあります。

はじめは、敬語でぽつぽつと必要最低限の事だけをしゃべり、時を追うごとに少しづつ打ち解けていく感じがリアルでいいです。

出会ってすぐに喧嘩を始めたり、ギャグを織り交ぜた軽妙な掛け合いをしたりすることはありません。謎解き要素もどんでん返しもありません。

その点では物足りないと感じる人も多いのだろうと思います。

また、一部の原作ファンには説明が足りないという批判もあるようですが、僕はこれ以上の説明はいらないと思います。

余計な説明シーンを増やさず、余計なキャラクターを増やさず、余計なギャグを挟まず、ほとんど二人だけの3~4日?の飛行のシーンだけに絞って、じっくりと丁寧に描いているからこそ、二人の感情の揺れが心に響くのではないでしょうか。

二人乗りの飛行機で男女が空を旅するものってなんか好きなんですよね。

ラピュタのパズーとシータ。アリソンとリリアラストエグザイル。など。

旅が終わりに近づくにつれ、二人の心が近づくにつれ

二人が背負っている宿命がせつなく心に響きます。

 

アニメに限らず映画やドラマでも主人公は極端にデフォルメされた個性的なキャラクターが面白いと世間的には思われているようですけど

僕は最近、普通のキャラクターに惹かれるんですよ

普通のキャラクターは一見感情を表現するのが難しいけど

うまく描けば逆に感情が心に響くものです

 

この作品はそれがうまく描けてると思います。

 

個性的なキャラクターが好きな人、サスペンスや謎解きが好きな人にはこの作品は合わないでしょう。

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