「ある天文学者の恋文」映画感想
公開 2016年 伊
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 ジェレミー・アイアンズ
あらすじ
───著名な天文学者エドと彼の教え子エイミーは、皆には秘密の恋を謳歌していた。しかし、そんなエイミーの元に突然届いたエドの訃報。
現実は受け入れられないエイミーだが、彼女の元にはその後もエドからの優しさとユーモアにあふれた手紙やメールや贈り物が届き続ける。
エドの遺した謎を解き明かそうと、エイミーは彼が暮らしていたエディンバラや、かつて二人で時間を過ごしたイタリア湖水地方のサン・ジュリオ島などを辿りはじめ、そこで彼女が誰にも言えずに封印していた過去を、エドが密かに調べていたことを知るが―──。
(アマゾン商品紹介より)
僕はこれは恋愛ものというよりは親子の話ではないかとみます。
もちろん本当に親子の関係ではないですよ。
エドとエイミーは不倫の間柄。
大学教授と生徒ですから親子のような歳の差で、結構序盤はラブラブ、ベタベタで
ここがもう受け付けない人は最初から入り込めないでしょう。
少し我慢して見進めてください。
この二人の間には男女の色情を超えたもっと深い親子のような愛があると思えてくると、
序盤に感じた気持ち悪さは和らぎ、素直に二人を応援するような気持で観られるようになってきます。
「ニューシネマパラダイス」もそうですが
あのおじさんと少年は実の親子ではありません。
実の親子として描いてもいいと思うし、そうした方がわかりやすく一般受けはするのではないかとも思うのですが・・。
しかしそうしないのがこの監督の肝ではないかな。
死期が近づいた者の、あるいは人生の希望を失ったものが
未来ある若者に自分の命のバトンを繋ぎたいというような
若干のエゴの気配もありながら
しかしそれは誰でもいいというわけではなく、親子でもない
唯一無二の存在の相手であり
そこにはまごうことなき愛がある
ただ美しい愛ではなく、この若干のエゴの気配が
リアルで人間臭く
素直に大きな感動とはいかないのですが
静かに深く、しみじみと共感する
そんな作品でした。