「ブルームオブイエスタデイ」映画感想
製作 2016年
ドイツ・オーストリア合作
監督 クリスクラウス
出演 ラース・アイディンガー
アデル・エネル
あらすじ
ナチスの戦犯を祖父に持ち、家族の罪と向き合うためにホロコーストの研究に人生を捧げるトト。ナチスの犠牲者となったユダヤ人の祖母を持ち、親族の無念を晴らすために、ホロコーストの研究に青春を捧げるインターンのザジ。スタート地点は真逆だが、同じ目標のためにアウシュヴィッツ会議を企画することになった二人。しかし、この出会いは、偶然ではなかった─。
ホロコースト社会派ドラマと身構えてみたら
ちょっと違いました。
序盤から中盤にかけては
こじらせ男女の破滅的な青春ストーリーという感じ。
苛烈でありながらユーモアもあり刹那的で退廃的で・・
躁鬱のようなつかみどころのない・・
とにかく情緒不安定な主人公二人。
特にトトの激しくゆとりのない神経質な感じが・・
ついていけるかどうか・・好みが分かれるでしょう。
ザジのキャラクターは男は結構好きでしょうが・・。
そして終盤になってなんとなく見えてきます。
これはホロコーストの惨劇を直接描くのではなく
子孫が今なお受継いでいる精神的呪縛を描いているのかな・・と。
そんな二人が祖父母の足跡をたどる旅をして、
死と絶望を肌で感じながら
情欲をむさぼるシーンはどうしょうもなくも美しく・・
生命の尊さを感じずにはいられませんでした。
ラストはちょっと切ないけれど
まあ・・あれが妥当な落としどころでしょう。