「ちはやふる」映画感想
「上の句」「下の句「結び」映画3部作鑑賞。
監督 小泉徳宏
原作 末次由紀
出演 広瀬すず
アニメシリーズ1期、2期は全話観ました。
3期シリーズがこの秋スタートという事で、楽しみです。
学園部活青春ものは星の数ほどあれど
その中でもトップクラスに好きな作品でした。
アニメシリーズは。
果たして実写映画は・・
嫌な予感がして今まで観ませんでしたが
今回、地上波放送録画でやっと観ました。
いやいやあっぱれ。上々です。
基本的に描かれていることは、
仲間との友情、幼馴染の三角関係含みの淡い恋心、挫折、迷い
青春もののお約束なんだけど・・
この作品は他と何かが違うのです。
それは何でしょうか・・
小学生のころ、かるた仲間だった、ちはや、太一、あらた。
あらたの転校で離ればなれになってしまう。
やがて太一もかるたから離れ・・。
ちはやは一人でかるたを続けていきます・・・。
僕も子供のころ、お正月に親戚で集まるときは毎年、百人一首かるた大会でした。
しかし、中学に入るころにはお正月の集まりにも行かなくなり・・
かるたもやらなくなりました。それがだいたい普通でしょう。
ちはやは周りがやめても一人孤独にかるたを続けているのです。
ド真剣に、競技かるたとして。
それが遠く離れてしまったあらたや太一に繋がることを信じて。
と、要は一つのスポーツが離れていた人の心をつなげていくという話です。
いや、真剣にひたむきに何かに打ち込む姿が・・人の心をつなぐという話です。
そこにテーマを絞っているところがうまいのでしょう。
主人公であるのに、ちはやの家族は一切出てきません。家も出てきません。
というのは1例で、とにかく余計なシーンを徹底的に廃した構成がすばらしい。
アニメの50話は、まったく長さを感じず、
それどころか止められず2日ぐらいで一気見してしまいました。
また、和歌の「永遠」と競技かるたの「一瞬」を交差させて
なんともいえない叙情的な世界観を演出しているんですね~。
百人一首に出てくる和歌の解釈を通して
古の歌人たちの想いが現代に生きる若者たちの想いにも通じるという
永久普遍の人の業を、抒情豊かに、奥ゆかしく描いているところが
中年層の心にもす~っと響くものがあるんだと思います。
その点は、アニメに比べ映画では若干希薄でしたが
時間的制約がある中で、なかなか上手く描けていたと言えるでしょう。
そして感覚として響いてくるのは
一瞬一瞬。
今を大事に生きるという事。
一期一会。
二度と戻らない青春の輝き。
それは何も若者だけの特権じゃないでしょう。
むしろ老い先短い中年世代以降にこそ・・
いや、年齢は関係ないのです。
明日の保証など誰にもないのだから・・。
そんなことを考えた作品でした。