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「マイレージマイライフ」映画感想

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製作 2009年 米

監督 ジェイソンライトマン

出演 ジョージクルーニー

   アナケンドリック

   

 

あらすじ

首切り宣告代行業者の話。そのエース、ビンガム。

1年のほとんどを出張で全米を飛び回り

経費でマイレージをためるのが生きがい。

家族はいない、欲しくもない。

人生のバックパックの中身は軽くした方がイイという持論を持ち

余計なしがらみは不要。

出張先ではワンナイトラブに興じるお気楽ライフ。

仕事はドライに泣き喚くリストラ社員たちに、クビを宣告する。

半端な人情はむしろいらない。

情の深い人間だったらとてもやってられない

仕事も私生活もドライドライ。

そんなビンガムの立場を危うくする存在の新入社員のナタリー。

ネット上で解雇通告を行い、出張を廃止するという合理化案を会社に

堂々とプレゼン。社長もその案に乗り気で・・。

おいおいちょっと待てよお嬢ちゃん。

いくらドライな仕事とはいえ、チャットで解雇通告とは現場を何もわかっちゃいない。とビンガム。

ならば現場を教えてやれと社長に言われ二人はともに研修出張に出かけることになるのだが・・・。

 

これは僕の中では意外な名作でした。

世間一般的な評価は平凡なようですけど・・

僕的には生涯ベスト級といっても過言ではないほど好きな作品です。

これをラブコメと思って観た人は「う~ん・・・」な評価になるでしょう

これは重厚な社会派職業ドラマです。

お仕事師弟ものです。

始めは反発しあっていた仕事の上司と部下が

いがみ合いながらも一緒に仕事していくうちに

化学反応を起こし、互いを認め合い自分自身も変わっていく

という定型的なものです。

定型的だからこそ、役者の演技、脚本、セリフ、演出、構成

それら基本的な事の技量が試されるのでしょう。

本作はそれらがもう神がかり的に見事なのですよ。

とにかく理屈なく主人公たちの気持ちの変化が心に響くのです。

 

ジョージクルーニーはいつも安定のお得意キャラで、

一見軽薄でニヒルなジョーク屋、意外に人情深く、仕事のできる男。

しかし今回は、

部下のナタリーを演じたアナケンドリックが素晴らしかったですね。

始めは頭でっかちプライド高い理系女子。

親子のような上司ビンガムにも臆さず言いたいことを言う。

マイレージはためることに意義があり、使わない」と

プラチナカードを持つことがステータスと豪語したビンガムに対して

「そんなの犬のマーキングと一緒じゃない」

とバッサリ切り捨てたシーンは最高でした

かと思いきや、恋人に振られたと泣きだしたり

パーティーでハメを外した時のキレっぷりもチャーミングで。

仕事の現場では百戦錬磨のビンガムにはかなわないものの

そこは素直に彼のアドバイスを吸収して真摯に取り組む姿

20代前半の女子にはあまりに過酷なリストラ宣告現場でも

対象者の悲痛な叫びに、必死に歯を食いしばってドライを装う姿

そんな姿にビンガムも何か心を動かされていったのでしょう。

 

‼ラストネタバレあり‼

 

 

 

ラスト、結局状況は何も変わらないままなので・・

一部の人からは不評な感想を持たれているようですが

2人がつかの間、一緒に過ごした時間がお互いの心に変化をもたらした

のです。そこがとても素敵に描かれているんですね。

仕事も別々になりますし、恋人としてくっつくという話でもありませんから。

バッドエンドのように受け取る人もいるかもしれませんが

これは紛れもなくハッピーエンドです。

2人の出会いは素晴らしいものだったのです。

ビンガムは映画の冒頭とは違う気持ちで

またどこかの街の企業に解雇宣告しにいくのでしょう。

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