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takeの感想文マガジン

映画・ドラマ・アニメ・読書・の感想・レビューを綴るブログです

北の国から95秘密

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この回は純と蛍の恋愛話がメインです。

前にも話しましたが、僕は「北の国から」の恋愛パートはあまり好きじゃないのですが。

されど、やはり倉本さん。さすがのイイシーン要所にちりばめられていて

何度見ても、引き込まれます。

 

───大竹しのぶがイイ

今回、蛍は札幌の大学病院の先生と不倫したあげく、

病院を辞めどこかに駆け落ちしてしまいます。

その不倫相手の先生の妻、という役どころの大竹しのぶ

まず、こういう役どころに大竹しのぶを起用するあたりが他のドラマと違います。

安っぽいメロドラマなら、いや大抵のドラマなら、

主人公の家族のところに、眉毛つり上げながら乗り込んできて、

髪の毛でもつかみかかりながら、ワーワーとまくし立てるような役どころですよ。

しかし、そこはなぜ大竹しのぶを起用したのか、すぐわかります。

静かに、五郎さんの家にやってきて、

蛍の大学病院の婦長とだけ名乗り、蛍の住所を聞き出します。

年賀状が届いていて、駆け落ち先の住所が書いてあるのを、

五郎さんは喜んで差し出します。

その後に、「黒木です、黒木の妻です」と名乗りますが五郎さんは

「いや~お世話になって」

とまったく事情を知らない様子。

 「責めるつもりで来たんじゃないんですよ」

といいながら、大竹しのぶは静かに淡々と事情を説明します。

本当に一切責め立てたりはしません。

それどころか

 「たぶん主人が悪いんでしょう」

と、ショックを受ける五郎をいたわります。

そして、「お邪魔しました、帰ります」と、静かに帰ります。

バス停まで送って行った五郎さんに

「お願いがあります。ここから蛍ちゃんに電話してください。それで主人に代わってもらってくれませんか」

と、突然、切羽詰まった様子で言いだします。

そんな様子に気おされた五郎さんは有無を言えず電話をかけます。

携帯はまだない時代ですから。公衆電話からです。

蛍が「もしもし」と出ると、横から手を出して慌てて電話を切り

 

「バカねえ、私ったら。なにしてんのかしら」

 

したたかさ、強さがありながら、平静を保とうとするプライドもあり、しかし、にじみ出る悔しさ、弱さ、寂しさもあって・・・。

短いシーンの中で、揺れる複雑な心理が心に響く深い演技でした。

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───蛍に会いに行ったシーンがイイ

新巻鮭を渡して

「蛍~いつでも富良野に帰ってくるんだぞ」

と叫ぶ、この回1番の名場面です。

 

大竹しのぶ来訪によって蛍の不倫と駆け落ちの事情を知った五郎さんは、

純と一緒に根室にいる蛍に会いに行きます。

蛍と会った五郎さん

「もうなんでもいいよ。誰に迷惑かけようが、自分に正直に・・」

「いいとか悪いとかじゃなくて・・世間的にはよくない事かもしれないけど・・」

「父さんに対して、申し訳ないなんて、思うな」

「お前が何しようと、おらぁ、お前の味方だ」

「だから、余計な事考えないで・・しちまった事、後悔せんでよう」

 

僕は、ただ優しいだけの五郎さんにはやや否定的でしたが、

この時の五郎さんの言葉には胸を打たれました。

わかっちゃいるけど、どうしようもない、蛍の気持ちを察して、

余計な小言はみじんも言わないと、瞬時に腹を決めて発した言葉だったのでしょう。

こういう機微は、まだまだ純よりもずっと大人ですね。

 

昔、子供の頃の純に、時に殺伐とした気骨を持って接した五郎さん。

最近ではすっかりその影は潜め、優しいけれど、

どこか弱々しく、小さく見えていた五郎さん。

いやいや、なんの、懐深く大きな五郎さんが、そこにいました。

 

帰り際、新巻鮭を買って蛍に持たせ五郎さん。

去っていく蛍の背中に

「蛍~いつでも富良野に帰ってくるんだぞ~」

蛍は、関を切った様に涙があふれ出し、駆け戻ってきて

「私だって、本当は、毎日自分を責めてるの。でもどうしようもないの」

「ごめんなさい」

 

この時の蛍の演技も泣けました。

それまで口を一文字に固く閉じ、世の中すべてを敵に回して戦っていたかのような蛍。

あの可愛かった蛍が、どうしてこんな女になっちゃったのかと、悲観的に見ていた人も少なくないでしょう。

しかし、僕の目には、蛍は、昔からこういう女でした。

母さん(いしだあゆみ)が富良野に来て、帰る時、正面から見送りに行かなかった蛍。

悲しい時、辛い時ほど、毅然とした、凛とした態度で背を向ける。

そんな蛍は、本当は、やさしくて、情が深くて、弱いんです。

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───純がレイちゃんの結婚式を影から見送った場面イイ

今回、純とレイちゃんは一応付き合ってる感じです。

札幌と富良野で中距離恋愛して、月に一回ぐらい会っているようです。

今回も、レイちゃんが富良野にやってきて久々のデート。

しかし「プロポーズされちゃった」「大人の、ビジネスマンに」

と言われ

「へえ、よかったじゃねえか」

と言ったきり、明らかに不機嫌モードになる純。

そもそも、最近のデートはずっとこんな感じで、

会っても会話は弾まずギクシャクしているそうです。

あの「思いでの小屋」がある八幡丘を一緒に歩き。

突然、草むらでレイちゃんを荒々しく押し倒す純。

純は、ふてくされた態度で

「結婚すれば。その大人と」

「本気でそう言ってるの」

「ああ、そいつのほうがふさわしいと思うよ」

と吐き捨てるように言います。

その後、純はシュウ(宮沢りえ)と出会い、イイ感じになり。

レイちゃんとは、自然消滅って事?

すいません。本当に「北の国から」恋愛パート、いまいちよくわからなくて。

結局、シュウともいろいろあって、ギクシャクした頃

レイちゃんから電話があります。

「今日の午後、お嫁に行くの」

「よかったな、おめでとう」

と純は心から、優しく言いいます。

純はもう、レイちゃんの事は吹っ切れた様子です。

しかしレイちゃんは、明日結婚するという花嫁が、純のところに電話してくるとは?

未練タラタラ?マリッジブルー?愛の無い政略結婚?単なる挨拶?

ちょっとよくわかりません。

純もその感じ察して、半分冗談で

ダスティンホフマンの卒業、やってやろうか?」

レイちゃんも「やってやって」とまんざらでもなく、

式場の場所と時間教えてもらいます。

かくして、純はレイちゃんの結婚式に行き、こっそりと木影から見守ります。

しかし結局、「卒業」はやらず、ただ見送ります。

「不思議と気持ちの落ち込みはなかった。淋しさはあったけど」

「レイちゃんへの愛がはじけて、別のものになった気がした。別の、もっと深いものに・・」

「レイちゃん。おめでとう。綺麗だったよ」

 

なんだろう、このシーン。

むろん純は、昨晩の電話もらった時すでに、レイちゃんの事はふっ切ってるようでしたから、

まあ、「卒業」のごとく、さらわなかった気持ちはわかります。

問題はレイちゃんの気持ち。果たしてどうだったのか。

おそらく、本当にさらってほしかったのではないか。

そう思うのは、男の都合のいい解釈でしょうか?女性のみなさんどう思います?

僕の勝手な妄想です。

レイちゃんの結婚はおそらく、政略結婚的な要素があり。

レイちゃんは、純の事がまだまだ本当は大好きだが、純のほうにその気がない感じは分かっていた。ならば、親の進めるこの縁談に乗る事も悪くはないし、もしかしたら、純の気持ちを取り戻せるかもしれないという、最後の大きな賭けでもあった。

最後、車に乗り込んだときに見せたあの涙は・・・そんなレイちゃんの

賭けに敗れた悲しさ、一つの恋の終わり、青春の終わりを感じた寂しさ。

新たな人生への覚悟。そんな気持ちが入り混じった涙で、決して幸せいっぱいの涙ではなかったのではないか・・・。

あくまで勝手な妄想です。ホントこのシーン、意味よくわかりません。

でも、そこがイイんです。

誰しも、若い頃、実際にこういう経験の一つや二つあるんじゃないでしょうか。

相手の気持ちがはっきり分からず、妄想をふくらませ、しかし結局よく分からないまま。

未練の残る相手の結婚式に出席して、苦笑いで「おめでとう」なんて言ったりしたり。

 

純が本当に「卒業」のごとくさらってたら、B級メロドラマに認定しなければならないところです。ただ見送ったところが、さすが「北の国から」らしいところ。S級ドラマです。

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───シュウとの話をどう見るか

レイちゃんとの関係が自然消滅していた頃

純は、シュウといい関係になっています。

しかし、シュウが昔、東京でAVに出演していた事が発覚します。

そこで草太兄ちゃんの言葉

「お前が知ってる事を、相手は知らん。自分の過去を知らんと思ってる。ずーっとそう思わせろ。知らんぷりを通せ。その事を話したり。ほのめかしたり、責めたり。絶対にしたらいかん。惚れてるならそうしろ。それがやさしさつーもんだ」

しかし、純はそれが出来ず、あからさまに不機嫌な態度を見せ、

ネチネチと遠回しに、シュウの口からその事を言わせようとするんです。

「隠し事は好きじゃない、隠されるとかえって気になるからな」

「何を隠してるっていうの」

「隠してないならそれでいいよ」

そうして、また二人の関係はギクシャクし始めます。

なんでこんな純がモテるのか、意味わかんないけど・・・

 

シュウは、五郎さんと温泉に入り

「純君ともうダメかもしれない」

と寂しげに話します。

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それで五郎さん、純の家を訪ね

「お前の手の汚れはせっけんで落ちる」

「でも石鹸で落とせない汚れもある」

「人間長くやってりゃ、どうしたってそういう汚れがついて来る」

「お前にだってある。父さんなんか汚れだらけだ」

「そういう汚れはどうしたらいいんだ」

五郎さんの、必死の説得により、

結局、純は遠回りして遠回りして、やっとシュウを受け入れる事が出来て、

仲直りできる。という話ですが。

 

そもそも、純はなんであんなにネチネチとやさぐれたのか?

その純の気持ちをどう解釈します?

他の人たち、(正吉、草太兄ちゃん、美保純、五郎さん)は3秒で、取るに足りない過去と判断したのに。いったい純はどんな気持ちだったのか。

自分の彼女が過去にAVに出演していたと知ったら。

もちろん、一瞬落ち込むかもしれないけど。

誰だって、処女でもない限り、過去に誰かとHなことしているわけで、

それが、1人か、10人か、50人か知らないけど、

AVに出演した事なんて、カメラがあるか無いかの違いでしょう。

大事なのは、やっぱり現在の彼女がどういう人間かであるということ。

ここまで3秒で、だいたいの男は決断出来るんです。

それは、あくまで頭で考えた第三者的な綺麗ごとで、

当事者にとってはそう簡単に割り切れるもんじゃない

という事を倉本聡は描きたかったのかな・・。

あと、

純は、思うに純血主義なところがあるのかな。

中学の初恋のレイちゃんをいつまでも引きずってるあたり、

僕からすると、さらさら分からない感覚です。

さらさらとは言いすぎですが、純血主義も男の心の奥にちょこっとある事は認めますよ。

しかしまあ大抵は、純血もねえ・・いいけど・・それはそれで重いよねえ・・・

と考えるのが普通です。

自分だって、いろいろな過去があって、他の女性といろんな経験してきてるんですから。

純だって相当な過去ありますよ。

タマコ(裕木奈江)を妊娠させて堕ろさせて、かぼちゃもって謝りに行って

「誠意って何かね」

って言われて。

タマコとちゃんと向き合えなかったのもレイちゃんが純の中にいたからで。

あれは僕はさらさら理解できませんでしたが。

「中学の時の初恋の相手なんか、いつまでもネチネチ引きずってるんじゃねえ!!」

と、あの時代、裕木奈江、好きだった僕は、純ふざけんなと思いましたから。

しかしまあ、結局純の中にはいつもレイちゃんが純血の象徴として綺麗に存在していて、

その他のリアルな人間の女はどこか汚れた存在に見えていたのかな・・・。

ましてAV出演なんて、到底受け入れがたい、ということなのか。

レイちゃんとはっきり終わった事と、まわりのみんなから一生懸命説得されて、ようやく、遠回りして遠回りしてシュウと真剣に向き合う気になれた。

ということなのかな・・。

「今度の日曜、山辺山麓デパートに行かねえか」

純がシュウに言った時

「遅いんだよ!!!」

と思わず、突っ込んでしまいました。

まあ、遅くても、ギリギリ間に合ってよかったけど。

 

重ねて言いますが、僕はやはりどーも恋愛パートに関しては、

特に純とレイちゃんの恋の話は、最初から最後までいまいちピンときませんでした。

お互い何がイイの?そして何がダメだったの?と思ってしまって。

みなさんはどう思います?