takeの感想文マガジン

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「手紙」映画感想

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製作 2006年

監督 生野慈朗

原作 東野圭吾

出演 山田孝之

   沢尻エリカ

   玉山鉄二

 

あらすじ

リサイクル工場で働く青年、武島直貴。誰とも打ち解けることもなく、人目を避けて生きる彼にはある秘密があった。兄・剛志が、弟を大学に行かせるための学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。数度にわたる引越しと転職。掴みかけたのに鼻先をすり抜けた、お笑い芸人になる夢。はじめて愛した女性との痛切な別離・・・。耐え切れず自暴自棄になる彼を、深い絶望の底から救ったのは、常に現実から目をそらさず、陽の当たる場所へと導いてくれた由美子の存在だった。しかし、彼女とのささやかな幸せが再び脅かされるようになった時、彼はある決意をする。(アマゾン商品紹介より)

 

‼ネタバレあり注意‼

今回で3度目ぐらいの鑑賞。

 

以前夫婦で観た時、珍しく二人ともいい映画だったと意見が一致。

どこが良かった?という話になり。

 

僕が挙げたのは、由美子(沢尻エリカ)の一連の献身的な姿。

兄(玉山鉄二)の手紙に勝手に返事を書いていたと分かった時、

歩道橋の上から直貴(山田孝之)がその手紙を破り捨てたのを

車にひかれそうになりながらも拾い集めて

「こんなことしたらあかん!だいじなものやんか!こんなことしたらあかん!」

電気屋に就職した直貴が兄の事がばれて倉庫に左遷されたとき

会社の会長に直談判の手紙を出してくれたり

それがばれた時の「なんや、ばれとったんか」の表情。

結婚して子供ができて、子供がまた公園で不当な差別を受けていることが発覚したとき、直貴が引っ越そうと言い出したのに対して

「私ら親子三人。人に何言われたかて、胸張って、道の真ん中歩いていくんや!絶対逃げへん!」

思えば初めに工場で働いていた時にうさぎのりんごをくれた時から、

直貴がいくら邪険にしても、不当な差別的扱いを受けてヤサグレてる時でも、いつも健気につきまとってくれる由美子。

ちょっと都合よすぎるけど、こんな女子いたら男はもうメロメロよ~。

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対して妻が挙げたのが電気屋会長(杉浦直樹)の言葉

「今回の人事異動は、君、不当と思ってるだろう。君の配置転換は人事の処置としては間違っていないと思っている。当然のことをしたまでだ。

君、差別されたと思っているんじゃないかね。きっとこれまでも不当なあつかいを受けてきたんじゃないのかね。そのたんびに君は苦しい思いをしてきただろう。差別にたいして怒りも感じただろう。

しかしね、差別は当然なんだよ。

人間誰だって犯罪からは身を遠ざけたい。犯罪者やそれに近い人間を排除しようというのは、至極まっとうな行為なんだよ。お兄さんはそれまで考えなきゃいかんのだよ。自分が刑務所に入って終わりじゃない。今の君の苦しみをひっくるめて、君のお兄さんの犯した罪なんだ」

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僕は実は以前はこの杉浦直樹のセリフはむしろ受け入れがたかった。

だから妻の意見には「えぇ~~~」と異議を申し立てた。

人殺しは兄であり、弟は関係なく、家族だからってひっくるめて誹謗中傷するのは不当な差別だと思っていた。

朝鮮人は~」とか「中国人は~」とか「ユダヤ人は~」とか同族を十羽ひとからげに語るのは差別と偏見の典型だと思っていた。

日本人だろうと朝鮮人だろうと中国人だろうと、良い奴もいれば悪い奴もいる。結局、人の価値は個人個人なのだと思っていた。

しかし、今回の鑑賞では妻が正しかったと思った。

今回は杉浦直樹の言葉がすんなり100%一点の曇りもなく受け入れられた。まさにこの作品のテーマであり核心だと思った。

長セリフで喋っちゃうことに対しての賛否は置いといて・・・。

人を殺すという事は個人の責任だけでは済まされない、被害者とその遺族。加害者本人はもちろんその家族や近親者すべてを巻き込んでその生涯に影を落とす。

それだけ重い事なんだと。

 

だから、終盤の被害者遺族(吹越満)の

「もう終わりにしよう。お互い長かったな」

は、前回は二番目ぐらいに感動ポイントだったけど

今回はちょっと都合よすぎと思ってしまった。

6年ぐらいで遺族からそんなこと言ってもらえるなんて・・

そこは弟だからのギリギリの譲歩と思えば腑に落とせるとして。

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唯一の難は山田孝之の漫才はひどかった。あれはダメだ~~。

 

 

まとめとして

普通、差別や偏見は許されざる悪と描かれることが多いけど

この作品の良さは差別を当然と言い切ったところにあると思う。

人の心に差別や偏見があることは当然と受け入れ、

差別や偏見と戦うでも逃げるでもなく、粛々と受け止め、

それでも地道に、しかし気高さを失わず生きていこうとする

主人公たちの姿が素晴らしい。

そして今どきだからこそ「手紙」の力を感じられるところ。

この作品、ストーリーを動かす要所では必ず手紙がポイントになっている。

会長の心を動かした由美子の手紙。

刑務所の中の兄にとっての唯一心のよりどころだった手紙。

遺族の凍った心をほんの少し溶かした直貴が最後のつもりで送った手紙。

「手紙って・・命より大事な時があるやねんで」

沢尻エリカ。このころまではすきだったな~。

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