映画「ぼくとアールと彼女のさよなら」感想~ほろ苦さがなんかしみる~
2015年 米
───男子高校生のグレッグは友達と呼べる相手もおらず、なぜか気が合うアールと共に名作のパロディー映画を作る冴えない日々を送っていた。そんなある日、幼馴 染みだが疎遠になっていた女の子のレイチェルが白血病になり、グレッグは母親からレイチェルの話し相手になるようにと言われる。今ではレイチェルはたいした友達でもなく、ただの同じ学校の知り合い程度で、そんな仲ではないと断るのだが、グレッグは半ば強引に彼女の家に行かされる事になる───
レイチェルも、たいした友達でもないグレッグの突然の来訪に
「病気の事を聞いたのね。同情ならいらないわ、帰って」
とまあ、そりゃそうだなという反応をします。
そこでのグレッグの返しの言葉が最高です。
「母さんに言われて仕方なく来たんだ。しばらく君といないと母さんにドヤされる。今回の件はマジでウザイ。君のために来たんじゃない。僕のために頼むよ。1日だけ一緒に過ごそう。それで母さんが納得したらもう来ない」
これ、優しさで計算して言ってるわけではなく
どうやら裏表なく本気で言っているもようです。
しかしレイチェルは、他の親友などからは感じられる、
優しい言葉や励ましの言葉の裏にある同情や憐憫の気配が、
グレッグにはないと感じたのか、彼を部屋に招き入れます。
グレッグはどうやら中二病?
中二病の定義、オッサンの僕にはよくわかりませんが。
極端に偏った自分の世界に閉じこもりつつも、周りの目が過敏に気になるとか
そういうことでしょうか?
中高生の学生時代を思い返しても僕にはそういう感じ全くなかったですし。
この作品を評価する人のレビューいくつか見ましたけど、
この主人公の人物像に共感したというものが多いようでしたが、
僕にそれはまったくそれはありませんでした。
しかし、その中二病ぶりが、計らずもがな、病気のレイチェルにとっては救いになっていくというのです。
彼女の部屋に入ったグレッグは、クッションのフランチェスカでオナニーする話とか、
レイチェルも嬉々としてグレッグの話に聞き入ります。
この時のレイチェル(オリビア・クック)の表情がなんともかわいいんです。
本当に心の安らぎになっているという様子で。
それから二人はただの知り合いから親友になっていくのですが、
親友になったグレッグはレイチェルの病気の事が本気で心配になるようになり、
闘病方針をめぐって怒鳴ってしまい、喧嘩になり・・・
気持ちがが近づけば近づくほどに関係はギクシャクと疎遠になってしまい
最後はどんでん返しもなく予想どうりの展開で・・・
なんというのかなあ・・
僕は″病気もの“結構好きでいろいろ観てきましたけど
なかなかにシュールな作品でした。
大きな感動とか、泣くとかいう作品じゃないんですけど、なにげに人生訓なんかもちりばめられていて、静かに心にしみるような秀作でした。
静に心にしみるシーン。
中二病気味の先生が唯一真面目に、落ち込むグレッグを励ました言葉。
レイチェルのお母さんが酔っ払って、ポツリとこぼした言葉。
学校のみんなから励ましのビデオレターみたいなの撮ったやつ見て
「何だこれ」とつぶやくアール。
「そんな事でいちいちこんなところに来るんじゃねえ」
とグレッグを殴るアール。
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