takeの感想文マガジン

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プラトーン

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公開 1987年

監督 オリバーストーン

出演 トム・ベレンジャー 

   ウィレム・デフォー

   チャーリー・シーン

 

イムリーに劇場で観たときは衝撃でした。

僕の中で戦争映画ナンバーワンと思ってましたが・・。

その後一度も見返すことはなく、時は経ち・・

印象もおぼろげになり・・「プライベートライアン」「地獄の黙示録」などを後に観て

戦争映画ナンバーワン争いも混沌としてきております。

いつか見返し、ちゃんとレビューを残したいと思っていた作品です。

その野望、ようやく叶いました。

 

まず、最初に観たときのおぼろげな印象語らせてもらいます。

 

1・戦闘シーンがリアルで凄い。

最初の戦闘シーンでテイラー(チャーリーシーン)が耳の下を銃弾が掠ったことで大騒ぎする感じ、胸を打たれた兵士が泣き叫び、懸命の止血作業の中、絶命していく様子。

アクション映画のかっこいい銃撃戦では感じない、一発の銃弾の恐ろしさ。

密林の中を進む緊張感。本当に怖かった。

 

2・エリアス(デフォー)とバーンズ(ベレンジャー)の対立が面白い。

始めはエリアスが悪い奴な印象(デフォーの容姿から)だったのが実はバーンズが悪い奴で、エリアスがいい奴だった。

 

3・戦争の(アメリカの)暗部を赤裸々に描いている。

兵士間での麻薬の横行。民間人の虐殺。レイプ。

戦闘のどさくさに紛れての、味方同士の裏切り、殺し。

誤爆。同士討ち。指揮系統の崩壊。精神の崩壊。

 

4・そもそもこの人たちは何と戦っているのか・・。

終始漂う戦争の(ベトナム戦争の)不毛感。

オリバーストーン自身のベトナム戦争体験に基づく、正統派反戦映画。

 

と、こんなところです。

で、今回の鑑賞ではどうだったかというと・・。

僕のおぼろげな印象、なかなか的を射ているじゃないですか。

1・3はこれ以上も以下も特に改めて語らなくてもいいでしょう。

4は、ベトナム戦争とはどんな戦争だったのか・・・。

まだまだ勉強不足だし・・。

この映画がベトナム戦争のリアルを描いているか否か?

よくわかりませんし・・・。

ベトナム戦争そのものの賛否含め政治的な側面もあるので・・・

これもこれ以上語らないでいいでしょう。

 

2についてが、ちょっと薄いので、

今回はエリアスとバーンズの対立に焦点を絞って語ります。

その前にちょっとおさらいしましょう。

‼以下ネタばれありですので、これから観ようと思っている方はご注意ください‼

 

二人の対立が表面化するのはベトナム農民の村を焼き払ったシーンあたりから。

この村の農民、完全な民間人かどうかは微妙なところで・・北ベトナム軍の武器食糧備蓄基地みたいな役割を果たしている。

バーンズはこの村の村長を尋問し、そばで泣き叫ぶ妻のような女性を黙らせるため撃ち殺す。周りの兵士たち、上官までもみな見なかったふり。

エリアスだけが猛然とバーンズに殴りかかる。

「バーンズ!お前らは銃殺隊か!」

バーンズはそんなエリアスを、以降は目の敵として敵視。

そしてあの名シーン、「エリアス置き去り事件」へとつながる・・。

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エリアス=善 バーンズ=悪

の図式は変わりませんが、

今回の鑑賞ではバーンズの悪にも一理あると思えるところも多々あり

善悪の図式はもう少し複雑になった印象です。

あの有名な「エリアス置き去り死」のシーン後

テイラーがエリアス派の仲間らとバーンズを暗殺しようと企てているところに、

バーンズは一人で乗り込んできて言います。

「エリアスは偽善者だった。命令が聞かれないと軍隊がダメになる。軍隊がダメになるとみんなやられるんだ。だからそうゆう奴は許せない。俺が憎いか?殺すなら殺せ。6対1だ。誰も見てない」

 

戦時下では判断スピードと戦力ベクトルの集中力が勝敗を分けるのでしょう。

兵士は思考を持たなくてよいというのは戦略的理にかなっているともいえます。

エリアスもテイラーもそれはよくわかっていました。

だからエリアスは心の底ではそれほどバーンズを敵視していなかったように思います。

階級は同じでも隊長として、きちんと立てるところはわきまえていまいた。

少しでも身の危険を感じたら、グレーな存在でも先手を取って迷わず排除する。

そんなバーンズだからこそ、命を預けるに頼りがいある隊長であったこともまた一側面です。

そう考えるとバーンズも悪には変わりないですが、戦時下ではしょうがない必要悪にも思えてきます。

しかしこの「戦時下だから・・」という事で何でも正当化してしまうところが戦争の最も怖いところではないかとも思います。

エリアスは決して純粋な正義漢ではありませんが(大麻はやってたし)ギリギリのところで、最低限の大義と正義、人の尊厳を見失ってはいけないと、もがいていたのではないでしょうか。

そんなエリアスがかっこよかったのです。

しかしそこを穿って受け取る人は、またアメリカの身勝手な戦争賛美ものだという・・。

それもいいでしょう。そういう人自身は戦争賛美はしていないのだから。

この映画を見て本当に「ああ戦争っていいな~」と思う人はいないだろうから。

だれもが戦争はいけないことだ。そんなことは分かっていると言うでしょう。

しかし戦争を実際に経験した人たちは、自分たちが戦った事実を、死んでいった仲間たちを、否定はしたくないという思いもまたあるのでしょう。

オリバーストーンにとって、エリアスのあの名シーンはそういう戦友たちへの哀悼の意味もあるのではないでしょうか・・・。

あのエリアスの名シーンが戦争賛美と批判されるのは想定していたのでしょう。

だからこそあのラストシーンになったのだと思います。

激戦を生き残ったテイラーが負傷していたバーンズを撃ち殺す。という・・。

「それはだめだよ。それでは同じ穴のムジナじゃないか」

と一瞬思いましたが・・・。

あえてああしたのでしょう。

「結局、戦争は不毛だ!」と言うために。

「この映画は戦争賛美などしていない」と言うために。

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最後の戦闘の前、テイラーはキングにこんなことを漏らしています。

「正しい奴が殺され、バーンズのような奴がのさばる。

俺たちはただ黙ってみてるだけで、どうしょうもないのか?」

キング、ケセラセラと笑って・・

「関係ねえ。ただ生きて帰りゃあいいんだ」

 

このキングの言葉・・・どっと不毛感漂います。

だけど好きです。

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今回の総評としては30年前の衝撃と感動はほぼ変わらず

色あせてはいませんでした。

ただ説明的なナレーションが多いのが若干気になりました。

新たな発見はキングが意外に要所でいいんだな~。

ジョニー・デップフォレスト・ウィテカーが出てたよ~。

しかしほとんど印象に残らない役で・・。