「プライベートライアン」映画感想
公開 1998年
出演 トム・ハンクス
マッド・デイモン
第2次世界大戦の歴史的ノルマンディー侵攻作戦から始まり、上陸後は兵士たちの危険極まりない特別な任務へと続く。ジョン・ミラー大尉(トム・ハンクス)は、ジェームズ・ライアン二等兵を探し出すため、部下とともに敵陣深く浸入する。4人兄弟のライアン二等兵は、ほかの3人の兄弟をすべて戦闘で亡くしたのである。作戦遂行が不可能に思えたとき、兵士たちは命令そのものに疑問を持つ。たった1人の兵士を救うために、なぜ8人もの兵士が命をかけなければならないのか。(アマゾン商品紹介より)
これも公開当時観たきりで、いつかきちんとレビュー書きたかった作品です。
初見の印象では戦争映画1位2位を争うほどよかった印象でしたが・・。
今回の鑑賞では「ん?」「戦争賛美もの?」
と、一瞬、思ってしまいました。
冒頭のノルマンディー上陸作戦、オハマビーチのシーンは圧倒的迫力で凄惨さが描かれて、戦争の無残さを痛感させられます。
しかしこういう作戦を考える参謀本部とは、
いったいどういう思考回路なのか・・。
203高地とか・・
人を人とも思っていない・・卓上の将棋の駒のように作戦を考えてるんだろうな~と考え巡らせていると
急に、生きているかどうかも分からない一人の兵士を探し出して生還させろという参謀本部から命令が下る。
いかにもファンタジックなアメリカ映画的、英雄譚の様相に・・。
いや、「七人の侍」的、娯楽映画の様相ともいえるか・・。
一人の二等兵を生還させるため、ミラー大尉率いる8人の小隊が編成され、
戦地をさまよいながら一人、また一人と死んでゆく。
最後はトム・ハンクス演じるミラー大尉も
見つけ出したライアンに「お前は生きろ」といって死ぬ。
反戦映画と思って観ると、かなり違和感があります。
ただ、最後の最後、現代のシーン。
老人になったライアンが言うミラー大尉の墓前での言葉は良かったです。
‼以下ネタバレ注意‼
「あの日のアナタを忘れたことはありません。
私は、あなたの思いに報いることができたでしょうか?」
人は誰も一人で生きているわけではない。
一人のために何人もの犠牲とは言わないが、何人もに迷惑はかけているだろうし、何人もの思いやりの上に生かされている。
自分はそれに報いているだろうか・・・
そんなことを考えさせらる、イイシーンでした。
戦争映画としてのクオリティーが高いという事に異論はありません
20年前の映画ですが、この迫力に勝る戦争映画を他にあげてみろと言われても
思い浮かびません。
せいぜい同等で「ダンケルク」ぐらいですか・・。
冒頭のオハマビーチのシーンはもちろん、そのほかの戦闘シーンでも、緊迫感があり、凄惨さもあり、また、アパムという通訳として連れて行った戦闘力ゼロの兵士の存在がなかなか効いていて、ただ勇ましいだけじゃない、人間の弱さも描かれていて見ごたえはあります。
ただ、全体的にはドイツ兵がゾンビ的悪に描かれている気はします。
むろんスピルバーグとて戦争賛美などするわけはありませんが、
彼が、第二次大戦をユダヤ解放戦線として、フランス開放線戦として、一定の評価はしているのではないかという意見も見かけました。
真相は分かりませんが、いわれてみればそんなニュアンスも感じる事は確かです。
総評として、僕が何を言いたいのかよくわからないかもしれませんが
戦争映画としてSS級作品であるという評価に変わりありません。
反戦映画としては微妙になりました。
戦争にも一定の功はあるのかもしれない・・
そんなことを考えさせられました。
いいのか悪いのか・・・。