「浮草」映画感想
公開 1959年
監督 小津安二郎
出演 中村鴈治郎
あらすじ
志摩半島の小さな港町を舞台に、ドサ廻り一座「嵐駒十郎一座」とそれを取り巻く人々のさまざまな人間模様を描く。
画面に広がる昭和ノスタルジー。昭和女性の艶っぽさ。
男たちの悲哀、人生の哀愁。滑稽さ・・。
独特にして唯一無二の世界観があるのですね~
と、鑑賞後3日ぐらい経って客観的に引いて思い返すと
じわじわと味わい深く思えてくるのですが・・・。
鑑賞直後の率直な感想はイライラ!
やっぱり小津監督はどうも合わない!
何が合わないって、一言で言えば
根底に流れる男尊女卑な世界観。
当時の世情を描いているのはわかるけど
そこはもう理屈抜きに、どうしてもイライラするのですよ。
あと職業差別的な事も。
とにかく差別、偏見があちこちに色濃く残ってて。
飲み屋の女はみんな娼婦的な扱いをするし。
脇役の男たちの何気ない会話が、下品でいけ好かない。
この作品の主人公駒十郎も、仕事に一生けん命でもなく。
団員たちに対してもどこか下げすんでいるところあるし。
女性は下等に扱うし。
外に隠し子作って、あしなが叔父さん気取って
仕事よりも団員よりも、息子が一番。
息子ラブ隠しきれず。
しかし自分は根なし宿なしの浮き草さ。
今までどおりにおじさんでいいのさ。
と、文字どおり、「粋」がってる感じが、なんか滑稽で。
ようするにクソジジイ!
女性陣は色気あるしかわいいし魅力的なんだけど
その演出はなんとなくエロ視点(監督の女卑的視点を)感じるし。
「ドアホ!バカタレ!ええかげんさらせ!お前の顔なんか二度と見とうない!でてけ!」
「あんたこそアホやないか!ウチにそんなこと言えた義理か!ウチがおらなんだらどうなると思うのや!」
いいぞいいぞ!京マチ子!カッコイイ!
出てったれ!出てったれ!
と思って観てたら・・・
なんだよ、まだ楽屋にいるのかい!
何があっても男についていく昭和の女なのね~。
結局、財布持ち逃げされて一座は解散。
そりゃあ、落ちるも当然。なるべくして。
そして、そういう時だけ、しょぼくれて、殊勝なこと言いはじめ、同情を誘う。
今の時代にもよくいる大嫌いなタイプの人。
最後は、浮草は浮草同士、夜汽車に乗って
さすらいの渡り鳥でござんす。って、アホか!
・・・・。
なんて言いながら結構楽しめたのですよ。
僕の中でいい映画とは画面に入り込んで登場人物の友達のようになって
ああじゃこうじゃと冷静さ忘れて熱くツッコめること大事なんです。
そういう意味では、イライラしたけどいい映画でした。
不快だったら、すいません。
小津監督の良さを理解するにはちょっとまだ若輩な私ですかね~。
あと10年寝かせてもう一度観てみます。